研究課題
研究代表者らの先行研究により、国内河川水から自由生活性(自立的な増殖が可能)の極微小細菌Aurantimicrobium minutum を分離した。そのゲノムサイズは1.6 Mbp前後と推定され、近縁種のそれは3~4 Mbp であることから、本細菌がゲノム縮小の過程にあるという仮説に至った。本研究では、このゲノム情報を精査し、寄生や共生性ではない自由生活性細菌のゲノム特性とその縮小傾向を調べる。最終年度である平成28年度は、昨年度に完全解読した本細菌ゲノムの情報解析(遺伝子機能付与および比較ゲノムの解析など)を進めた。その結果として、二成分制御系やシトクロムbd型呼吸系に関わる遺伝子など、近縁細菌のゲノムでは保存されている200以上の遺伝子が本ゲノム中では欠落していた。また、プロテオロドプシン様の遺伝子を有することから、本細菌が光エネルギーをその増殖や生存に利用する可能性が明らかになった。この細菌は自然環境中で遍在することが知られるが、その代謝系は驚くほどに単純化ないし合理化されている。さらに、ある種の機能を発揮するために、他の細菌が作り出す代謝産物に依存する系も見いだされた。そのような代謝産物に依存してきた結果として、自身にとって負担の大きい代謝機能に関する遺伝子群を失うようにゲノム縮小が進んできたと考えられる。得られた結果の一部については国際誌 Genome Announcements で論文公表した。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Genome Announcements
巻: 4 ページ: -
10.1128/genomeA.00616-16
http://researchmap.jp/rnakai/