研究課題
日本海溝の深海5000m付近から単離されたCryptococcus liquefaciens N6株は、銅イオンに高い耐性を示すユニークな深海酵母である(阿部等 JAMSTEC J Deep Sea Res 1998)。これまで、C. liquefaciens 酵母の分子遺伝学・分子生物学的解析はほとんどされておらず、形質転換法やプラスミド系などの基本的な解析ツールが存在しない。本研究では、C. liquefaciens酵母の分子遺伝学・分子生物学的ツールを新たに開発し、これを用いて、ユニークな特徴をもつC. liquefaciens N6株の高濃度銅イオン耐性機構の分子機構を解明することを目的としている。そのためには、まず、形質転換法の確立が必須である。そこで、ウラシル要求性を選択マーカーとするために、野生型C. liquefaciensから5-FOA耐性を指標にウラシル要求性変異を数種類分離した。これらの全ゲノムをNGSによって配列決定をおこない、原因遺伝子を特定し、そのうち1株において、ura5を同定した。得られたura5変異株を宿主として、ura5+ 遺伝子断片を用いて、ウラシル非要求性を選択指標に様々な形質転換法を試みた結果、エレクトロポレーション法で有効な条件を設定できた。これを用いて、相同組換えを利用した遺伝子破壊を試みたが、非相同組換えによるインテグレーションによるウラシル非要求性形質転換体しか得られなかった。すなわち、出芽酵母で見られる相同組換えによるインテグレーションが、Cryptococcus酵母ではほとんど起こらないことが、分かった。そこで、現在、CRSPR-CAS9ゲノム編集技術による、形質転換体の導入方法について検討中である。
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Genes to Cells
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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Science
巻: 356 ページ: 631-634
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FEBS letter
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10.1002/1873-3468.12656.
http://www.iwasakilab.bio.titech.ac.jp