研究課題
出芽酵母の液胞は、細胞体積のおよそ30%を占め、有害物質の輸送と分解、有用物質の蓄積と分泌のほか、細胞内のpHをコントロールする重要なオルガネラである。細胞内のpHは、遺伝子発現や代謝制御など、様々な生命活動に根源的に影響を与えているにも関わらず、その全貌の解明は、細胞内pHの外部制御の難しさから実現していない。光駆動プロトンポンプであるデルタロドプシンを、液胞に発現させるため、液胞膜局在化シグナルペプチドを融合したが、デルタロドプシンの液胞での特異的な発現を確認することができなかった。そこで、まずは、特異的な発現方法が明らかなオルガネラへのデルタロドプシンの特異的な発現を確認すことで、デルタロドプシンがオルガネラの膜に機能的に発現可能であるのかについて調べることにした。具体的には、デルタロドプシンにミトコンドリアタグおよびGFPを結合させ、出芽酵母におけるデルタロドプシンのミトコンドリア特異的な発現を蛍光顕微鏡を用いることで確認することを試みた。その結果、ミトコンドリアでのデルタロドプシンの発現を確認することができた。また、細胞内のpHは、細胞内のエネルギー形態の1つである水素イオンの濃度勾配として、細胞内のエネルギー代謝に深くかかわると考えられる。そこで、出芽酵母に光照射を行うことで、デルタロドプシンを活性化し、ミトコンドリア膜の内外に水素イオン濃度勾配を形成させ、これを駆動力として、ATP合成酵素が、ATPを合成するかについても調べた。
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Science
巻: 353 ページ: 6305
10.1126/science.aaf8729
http://sweb.u-shizuoka-ken.ac.jp/~env-bioeng/research.html