研究課題/領域番号 |
15K14440
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高田 達之 立命館大学, 薬学部, 教授 (90206756)
|
研究分担者 |
檜垣 彰吾 立命館大学, 薬学部, 助教 (70595256)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 琵琶湖固有種 / ホンモロコ / n vitro培養 / 卵子培養 |
研究実績の概要 |
琵琶湖固有種固有種ホンモロコにおけるin vitro 卵子形成を試みるにあたり、まず、卵原細胞を採取し、凍結保存することが必要である。そのために卵原細胞の凍結保存方法の開発、条件設定を試みた。卵原細胞が存在する非繁殖期の雌個体から卵巣を採取し、トリプシンにより、卵巣細胞を単離した。この細胞を凍結保存の際に使用される様々な凍害防止剤を含む溶液に浸漬し、トリパンブルー排出試験による細胞毒性試験を行った。その結果、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、およびジメチルスルフォキシド(DMSO)の毒性が低いという結果が得られた。そこでこれらを中心に実際に卵巣細胞を、ガラス化凍結保存し、加温後における卵原細胞の生存率をvasa抗体により染色して、計測した。その結果、卵原細胞は凍結保存が可能であること、凍結保存にはEG, PG, DMSOが適していることが確認ができた。さらに培養を継続するとvasa陽性の細胞数の若干の増加が認められ、本条件下で、増殖可能な卵原細胞の凍結保存が可能であることが示唆された。 同時に、卵子成熟培養の基盤技術の開発を並行して進めた。卵子成熟には肝臓で合成されるビテロジェニンが必要である。本研究では安定したビテロジェニンの供給のため、卵細胞と肝臓細胞の共培養を計画している。そこで我々が確立している固有魚の細胞株樹立方法を用い、稚魚、および雌成魚の肝臓を材料として肝臓細胞株の樹立を行った。その結果、稚魚、成魚の両者において安定に増殖可能な細胞株が樹立でき、遺伝子発現解析により本細胞株は微量ながらビテロジェニンを合成していることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
琵琶湖固有種固有種ホンモロコにおいて、その卵原細胞の凍結保存が可能な基本条件を見いだすことができた。また凍結保存した細胞は培養により、若干ではあるが増殖する可能性が示唆された。 また、卵子成熟培養に必要なビテロジェニンを合成する肝臓由来細胞株を樹立することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
凍結保存条件の至適化を計ると共に、凍結保存した卵原細胞が確実に増殖しているかを確認する。その具体的確認方法としては核酸アナログの取り込み実験、および減数分裂マーカーとしてSycp1,3の染色を行い、増殖と分化を区別する。 凍結細胞の培養を継続し、培養液へのwntシグナル阻害剤や増殖因子の添加を行い、未分化培養、分化培養条件の検討を行い、特に分化培養の開発に取り組む。 樹立した肝臓細胞のビテロジェニン合成は微量であったことから、エストロジェン等のホルモン添加によるビテロジェニンの誘導を確認する。誘導された場合はその培養上精をを用いて、もし誘導されなかった場合は肝細胞の初代培養上清を卵原細胞培養液に添加し、in vitro卵子成熟培養を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定より機器価格が安価に納入できた。
|
次年度使用額の使用計画 |
ホンモロコ購入費、ホンモロコ購入旅費、細胞培養液、遺伝子解析試薬の購入
|