本研究では、ASK1ノックアウトマウスが顕著にがん転移に対して耐性になるという知見に基づき、ASK1ががん転移の際どのような細胞種で機能するかについて分子メカニズムを含めて解析した。組織特異的コンディショナルノックアウトマウスを用いて、ASK1が少なくとも血小板と内皮細胞という複数の“場”においてがん転移に寄与することを明らかにした。特に、血小板においては、ASK1欠損により複数のリン酸化シグナル伝達に不全が起こり、血小板機能が抑制されることを見出した。また、リン酸化シグナル不全の一部は、ADP受容体であるP2Y12の特異的なアミノ酸のリン酸化修飾が低下することに起因することも明らかにした。
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