研究課題/領域番号 |
15K14447
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 ゆたか 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40314174)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ホヤ / コアプロモーター |
研究実績の概要 |
アフリカツメガエルやゼブラフィッシュなどでは、エンハンサー・プロモーター・レポーターの融合遺伝子を受精卵などに顕微注入すると、そのエンハンサーやプロモーターの由来する遺伝子本来の発現とは無関係に、顕微注入直後から一定の時間だけ発現することが知られている。この報告に基づいて、私の研究グループでは、同じ脊索動物門に属する動物であるホヤ(Ciona intestinalis)を用いて実験をおこない、受精卵に顕微注入したエンハンサーとコアプロモーターを含むレポーターDNAは2~4細胞期に発現するという同様の結果を得ていた。この発現について調べコアプロモーターの活性にのみ依存するのか、を明らかにすることを第一の目的として実験を進めた。 上流調節配列の長さを変えたDNAコンストラクトを作成して、ホヤの受精卵に導入し、in situハイブリダイゼーションにより調べたところ、大きな違いは認められなかった。一方で、発現する胚の割合は実験ごとに大きなブレを示し、実験系としての問題点と考えた。その原因を探るために、活性の強さを定量的に調べるRT-PCRの方法を開発した。サンプル中には導入した大量のDNAコンストラクトがあり、DNA分解酵素による処理だけでは完全に排除できなかったので、RNA由来の逆転写産物だけを鋳型にPCRができるように特殊な逆転写プライマーを使うなどして、定量できるようにした。その結果、2~4細胞期での発現は通常の発現量の1~10%であり、in situハイブリダイゼーションによる検出限界付近の量であることが分かった。定量PCRでも実験間のブレが大きいため、この実験系を用いて、再現性良く活性の測定をおこなうことが可能かどうかの結論を平成27年度中には得ることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の他の動物の報告を踏まえても、2~4細胞期での発現が通常の発現量の1~10%とは予期できなかったため、その点において、幾分遅れが生じたことは事実である。一方で、定量的に測定する実験系が確立したことで、コアプロモーターの活性測定に向けて着実な前進があった。
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今後の研究の推進方策 |
実験間のブレは実験技術ではなく、使用するホヤ卵の違いに由来するらしいので、コントロールの取り方を工夫するなどの方法で、再現性良く実験をおこなう系を開発する。それと同時に、実際のコアプロモーターの配列に変異を入れて活性測定が可能かどうかを検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想と異なる結果が得られたため、実験系の確立・試行に時間が時間がかかった。そのため、予定していた経費の一部を使用する必要がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
定量的に測定する実験系がほぼ確立したので、27年度の後半に予定していた実験と、28年度に予定していた実験を28年度中に行う。
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