研究課題
分裂酵母を用いて、間期染色体の核内局在を制御するしくみを明らかにするため、染色体腕部に多数存在する機能領域として複製開始点を選び、それぞれ近傍にlac0リピートを挿入し、生細胞内でLacI-GFP結合シグナルを高解像度顕微鏡で解析するシステムを構築した。その結果、初期開始点とTaz1非依存後期開始点は核内のランダムな位置に存在したのに対し、Taz1依存後期複製開始点は、間期を通じての核膜内縁局在と複製タイミングが決定されるG1/S期特異的なテロメアへの近接という2つの特徴的核内局在を示した。テロメアを核膜に繋ぎとめるしくみに働く核膜構成因子Bqt3/4の遺伝子破壊株を用いた実験により、複製開始点の核膜局在は複製タイミング制御に必要ないことが結論された。いっぽう、Shelterin構成因子Rap1, Poz1は、染色体腕部のTaz1依存開始点テロメアへの近接と複製タイミング制御に必要であった。さらにRap1、Poz1を欠失した条件でTpz1-Taz1の融合タンパク質(minishelterin)を発現させた実験結果から、Taz1ならびにshelterin因子が腕部のTaz1依存開始点をテロメアに近接させ、テロメアに集積するRif1とPP1(脱リン酸化酵素)を介して複製タイミングを後期へと制御すると結論した。これらの結果は、複製制御に細胞核内局在が寄与することを示す結果として、論文"Shelterin promotes tethering of late replication origins to telomeres for replication-timing control"としてEMBO Joural誌(2018)に掲載され、写真が表紙に採用された。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (2件)
Genes & Development
巻: 32 ページ: 806~821
10.1101/gad.310995.117
EMBO Journal
巻: 37 ページ: e98997
10.15252/embj.201898997
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/masukata/
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/newinfo/info93.html