研究実績の概要 |
「研究の目的」,「研究実施計画」に沿って幾つかの興味ある知見が得られた.平成27年度の目的・計画である,「Ⅰ.哺乳類ホスファチジルコリン特異的ホスホリパーゼC(PC-PLC)の分子実体の解明」について以下の結果が得られた. ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)δをpleckstrin-homology domain (PH), C1 domain (C1), 介在領域を含めたcatalytic domain (CD), 2つのcoiled-coil structureを含む領域 (CC), sterile α motif domain (SAM) の5つに分け,polyhistidine tag (His tag) と可溶化タグのtrigger factor (TF) を融合させ, cold shock発現系を用いて発現させ, Niイオン固定化担体でNi2+ とHis tagの親和性を利用して精製した.PC-PLC活性が強い器官である脳をC57BL/6 マウスから摘出し, 破砕した. 破砕物と融合タンパク質をインキュベートし, 精製と同様にNi イオン固定化担体でタンパクを単離した.PC-PLC活性はCCによる単離物が最も高く, 対照と比較して有意な差があり, 約7倍の活性を示した. 一方, 他の変異体では活性が低く, 対照と有意な差は無かった. CCが相互作用に強く関わることが示唆された. 現在, CCをさらに細かく分けた変異体を作製し, 詳細な相互作用領域の解析を試みている.更に,PC-PLCの分子実体の解明を目指す. また,従来のPC-PLC活性測定法では,バックグラウンド活性が高く,弱いPC-PLC活性を定量性良く測定することが困難であった.そこで,液体クロマトグラフィー/質量分析を用いた,感度が高く定量性の良い測定法の開発を開始した.
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