研究課題
環境中に広く存在するダイオキシンなどの芳香族炭化水素は,生体中ではAryl hydrocarbon receptor (AhR)(ダイオキシン受容体)により認識されている。AhRは転写調節因子であり,ダイオキシンに応答して薬物代謝酵素の誘導を促進させる。本申請課題では,AhRによるダイオキシンの認識と転写活性化機構をX線結晶構造解析により原子分解能で明らかにすることを目的とする。AhRは,発がんや催奇形性,自己免疫疾患,メタボリックシンドロームなど種々の病態に関与しており,これらの治療薬のターゲットとなることが期待されており,本研究はその構造基盤を与えるものである。本申請課題では,AhRによるダイオキシン認識と転写活性化の中核であるAhR(リガンド)/ARNTヘテロ2量体とDNA(XRE配列)の4者複合体の構造解析を目指す。これより,AhRによるリガンドの認識,AhRとARNTとの相互作用,AhR/ARNTによるDNA認識機構を原子レベルで明らかにする。これまでの研究により、蛋白質表面に存在すると予想されるループ領域を欠損させた変異体を複数作成し結晶化を試みてきた。今年度はさらに結晶化に有利となるように一部のドメインを欠損させたAhR/ARNTを複数種類作成した。そのうちでPAS-Bドメインを欠損させたAhRとARNT複合体試料についてDNAとの複合体結晶を得ることに成功した。また、ARNTとヘテロ2量体を形成することでAhRとARNTの複合体形成を阻害するAhRRに関して、AhRR/ARNT複合体の結晶構造解析に成功した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~kouzou/index.html