研究課題
細胞増殖因子(GF)は組織の発生・再生を担い、再生医療にも利用される。私達はMET/HGF受容体に高親和性結合する特殊環状ペプチドを利用し、人工的なMETアゴニストを創成できることを示した。したがって、GF受容体(GFR)を人為的にダイマー化する人工リガンド技術は再生医療にも利用可能であるとともに、従来にない生物活性をもつ人工リガンドを創成できる可能性が考えられる。本研究は、ヘテロ受容体同士を人為的に2量体化することで、ヘテロ受容体のシグナル活性化と生物活性発現につながるかに挑戦した。(1)ヘテロカップリング可視化のためのAFM(原子間力顕微鏡)観察、(2)ダイマー形成評価のためSplitルシフェラーゼ系の確立、(3)MET受容体、RET受容体、IGF受容体をモデルとしたヘテロ受容体活性化の評価を進めた。MET細胞外を可溶性タンパク質として発現・精製を用いて、AFMによりHGF依存的ダイマー形成を観察・検証することができた。また、Splitルシフェラーゼ融合MET細胞外タンパク質を調製し、HGF依存的ダイマー形成の定量系とできることを確認した。一方、MET、RET、IGFRの細胞内領域にダイマー制御ドメイン(FKBP, FRB)を連結し、ダイマー化によるシグナル活性化を評価した結果、同一分子同士のホモ受容体の組合せ(MET-MET, RET-RET, IGFR-IGFR)ではダイマー化依存的なシグナル活性化が認められたのに対して、異分子間(MET-RET, MET-IGFR, RET-IGFR)ではダイマー化によるシグナル活性化は認められなかった。以上の結果から、GFRのヘテロダイマー化誘導によるシグナル活性化について当初の予測を超えて容易ではないと判断された。ヘテロ受容体同士の組合せを新たに検討することで、ヘテロ受容体活性化能をもつ人工リガンド創成の可能性が考えられる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)
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