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2015 年度 実施状況報告書

細胞膜改変大腸菌による膜タンパク質発現系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K14475
研究機関京都大学

研究代表者

今井 友也  京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (90509142)

研究分担者 石水 毅  立命館大学, 生命科学部, 准教授 (30314355)
中島 啓介  沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 研究員 (10422924)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード大腸菌発現系 / 膜タンパク質発現 / 多糖合成酵素 / ホスファチジルコリン
研究実績の概要

タンパク質の作用機構を解明するにあたり、大量の目的タンパク質を高純度で取得することは、研究を効率的に進める上で大変重要な第一段階である。そのために異種発現系が頻繁に使用される。様々な生物がタンパク質発現のための宿主として使われるが、その中でも大腸菌はその取り扱いが簡便で安価に実験を進めることができる点で、他の宿主よりも優れている。ところが、膜タンパク質を発現する際には、発現しない、発現量が極めて低い、発現しても不溶性画分として発現してしまう等の問題が頻発する。発現したいタンパク質が真核生物由来のものであれば、これらの問題はより顕著に現れる。
そこで本研究では、真核生物由来の膜タンパク質を高確率で発現できる大腸菌発現系の開発を目的とし実験を行った。ほとんどの真核生物では脂質二重層を構成する主要な脂質分子としてPC(ホスファチジルコリン)を持つが、大腸菌細胞膜の主要構成脂質はPE(ホスファチジルエタノールアミン)であり、PCは全く存在しない。そこでPCを持つ大腸菌(以下、PC大腸菌)を使用して、真核生物由来膜タンパク質を発現させることを試みた。
モデル膜タンパク質として、RGI(ラムノガラクチュロナンI)の生合成に関与するGalAT(GT-8)、マンナン生合成に関わるCslA1(GT-2)、セルロース生合成に関わるCesA(GT-2)を選択し実験を行った。また、PCを持つバクテリアも少ないが存在する。そこでその一つである酢酸菌のセルロース合成酵素もモデルの一つとして選択し、発現実験を行った。
酢酸菌のセルロース合成酵素およびGalATの場合は、PC大腸菌を使うことによる改善は見られなかった。また、CslA1では発現系の構築に至らなかった。CesAは、わずかに発現が認められるケースがあった。現在、この条件を起点にして発現条件の最適化を行っている最中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画のうち、PC産生細菌であるバクテリア由来の膜タンパク質(セルロース合成酵素)で行った実験では、発現量ならびに発現タンパク質の酵素活性について優位性を確認できなかったため、モデルタンパク質として、緑藻のCesA、高等植物のGalATとCslAの3つについて実験を進めた。
これらのうち、緑藻のCesAと高等植物のGalATについてははっきりとポジティブな結果を得るには至っていないが、複数の条件を試行しデータを得ている。しかしCslAについては、発現系の構築でとん挫している。おそらく発現タンパク質が大腸菌細胞にとって何らかの毒性を示すことに原因があると考えられる。現在、ベクターの変更など各種条件設定を行っている。
またもう一つのモデルタンパク質として計画に挙げた、ホヤのCesA(CiCesA)については、研究協力者側の都合で今年度進めることができなかった。
以上から、研究の進捗はやや遅れている状況と判断している。下記のような方策で、研究の推進を図る予定である。

今後の研究の推進方策

代表者のグループでは、今年度より関連課題の経費で実験補佐員を雇用したので、その人力を活用して研究の加速をはかる。またCiCesA担当の協力者グループにおいても実験補佐員を投入することにより、研究の進展を図る。
基本的には行うべき作業は、発現系の構築とタンパク質発現条件の最適化であり、得られる結果の判断も○か×の二者択一的課題なので、人員増加により一定の研究加速効果は期待できると考えている。

次年度使用額が生じた理由

代表者グループ、協力者グループとも、計画していた実験をすべて行うことができなかったために残額が生じてしまった。

次年度使用額の使用計画

ホヤのCesAを使った実験の開始のために、遺伝子人工合成の費用に充てる。

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公開日: 2017-01-06  

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