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2016 年度 実績報告書

ミトコンドリアへの新たな脂肪酸輸送経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K14476
研究機関京都大学

研究代表者

梅田 眞郷  京都大学, 工学研究科, 教授 (10185069)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード脂質 / 脂肪酸 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / 筋肉
研究実績の概要

昆虫は飛翔時に極めて高い代謝率を示すことが知られており、飛翔時のエネルギー消費量は運動選手の最大エネルギー消費量の30倍にも達する。このような多量のエネルギーを産生するためには、極めてエネルギー効率の高い代謝経路を備えている必要がある。カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT1)は、細胞質中のアシルCoAをアシルカルニチンへと変換することにより長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への輸送を行う酵素である。申請者はCPT1を完全欠損したショウジョウバエが脂質・エネルギー代謝に全く異常を示さないことを見出し、ショウジョウバエの分子遺伝学的手法を駆使して、CPT1経路を代替するミトコンドリアへの新たな脂肪酸輸送経路を探索するスクリーニング系を確立した。昨年度は、骨格筋を標的としてCPT1と他の遺伝子を同時にノックダウンして、脂質代謝に異常をきたす遺伝子を探索し、その結果、ミトコンドリア輸送タンパク質ファミリーに属するSLC25A50を同定した。
本年度は、SLC25A50およびCPT1欠損ショウジョウバエを用いて、個体の脂質代謝におけるSLC25A50の機能解析を進めた。その結果、筋肉特異的なSLC25A50の発現抑制により全身および筋肉におけるトリアシルグリセロール量が増加し、特にミリスチン酸を含む分子種が顕著に増加することが示された。これらの結果から、SLC25A50はミリスチン酸の輸送に関与している可能性が高く、ショウジョウバエは基質特異性の異なる2つの機構を用いることによって効率良く脂肪酸を代謝していると考えられた。本研究で解析したSLC25A50には肥満との相関を示すヒト相同タンパク質MTCHが存在するため、同分子の脂肪酸輸送に関する機能を解明することは肥満などの脂質異常症の予防と治療への貢献も期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 生体膜におけるリン脂質ダイナミクスとその生物機能2016

    • 著者名/発表者名
      土谷正樹・原雄二・梅田眞郷
    • 雑誌名

      膜

      巻: 45 ページ: 196-201

  • [雑誌論文] ショウジョウバエのリン脂質輸送タンパク質-ユニークな形質膜のリン脂質の組成と分布2016

    • 著者名/発表者名
      長尾耕治郎・塩見晃史・梅田眞郷
    • 雑誌名

      生体の化学

      巻: 67 ページ: 247-251

  • [学会発表] Dietary response governing thermoregulatory behavior2016

    • 著者名/発表者名
      Masato Umeda, Takuto Suito, Naoto Juni, Kojiro Nagao
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2016-11-30
  • [学会発表] 腸内細菌を介する行動性体温調節の分子機構2016

    • 著者名/発表者名
      梅田眞郷、水藤拓人、従二直人、長尾耕治郎
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台)
    • 年月日
      2016-09-25
  • [学会発表] 体温はいかにして決まるのか?2016

    • 著者名/発表者名
      梅田眞郷
    • 学会等名
      HiHA第7回Workshop
    • 発表場所
      広島大学(広島)
    • 年月日
      2016-09-23
  • [学会発表] 温度センシングとエネルギー代謝2016

    • 著者名/発表者名
      梅田眞郷
    • 学会等名
      第68回日本細胞生化学会大会
    • 発表場所
      早稲田大学西早稲田キャンパス(東京)
    • 年月日
      2016-06-15

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公開日: 2018-01-16  

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