研究課題
本研究において着目する銅・亜鉛スーパーオキシドディスムターゼ(SOD1)について、その酵素活性の中心である銅イオンはCCSと呼ばれる銅シャペロンによって供給されることが知られているが、SOD1がどのように亜鉛イオンを獲得しているのかは未だ不明である。銅シャペロンCCSはSOD1と特異的に相互作用することで銅イオンを供給することを考慮すると、亜鉛イオンをSOD1に供給する亜鉛シャペロンについても、SOD1と特異的に相互作用することが予想される。そこで、亜鉛シャペロンはSOD1の亜鉛イオン結合領域との相互作用を通じて亜鉛イオンを供給すると仮定し、SOD1に作用する亜鉛シャペロンの同定に挑戦した。具体的には、出芽酵母におけるレポーター遺伝子の転写活性を指標としたタンパク質間相互作用の検出手法である酵母ツーハイブリッド(Y2H)法を利用することで、亜鉛フラグメントと相互作用するタンパク質の探索を行った。本研究では、抗生物質耐性遺伝子、及び、青白選択を可能とするα-galactosidase遺伝子の転写活性を指標とし、規格化した460万種のヒト遺伝子クローンからなるライブラリーを利用して、亜鉛フラグメントと相互作用するタンパク質をスクリーニングしたところ、37個のクローンにおいて亜鉛フラグメントとの相互作用が考えられた。そこで、37個のクローンについてDNA配列解析を行ったところ、31個のクローンではフレームシフトした異常タンパク質の発現が考えられたが、残り6個のクローンにおいて正常なタンパク質をコードしていることが分かった。さらに、亜鉛イオンを結合すると予想される新規のタンパク質が含まれており、SOD1への亜鉛イオン供給の役割を果たす可能性について言及することができた。
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