亜鉛イオンは生命の維持に不可欠な金属イオンで、タンパク質に結合することでその構造を安定化させたり、酵素活性の中心として機能したりする。一方で、亜鉛イオンは錯体形成能力が非常に高く、鉄や銅といった他の金属イオンを結合するべきタンパク質にも結合し、それらの生理活性を低下させる危険性がある。実際、細胞内における亜鉛イオンは何らかの生体物質と結合しており、遊離状態としての濃度は非常に低く抑えられている。そのような細胞内環境において、亜鉛結合タンパク質がどのように亜鉛イオンを獲得しているのか明らかでない。そこで本課題では、未だ発見されていない「亜鉛シャペロン」の探索に挑戦した。
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