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2015 年度 実施状況報告書

光従属栄養成育能を付与した好熱性シアノバクテリア作製による光合成研究基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K14492
研究機関愛媛大学

研究代表者

杉浦 美羽  愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (80312255)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード光合成 / 好熱性シアノバクテリア / 光化学系II / 光従属栄養
研究実績の概要

本年度は好熱性シアノバクテリアのゲノムにある3つの光化学系II反応中心タンパク質D1遺伝子のうち、2つを同時にノックアウトして、そこに糖を取り込む遺伝子を挿入した組換え体の作製した。1つの細胞に100コピーあるゲノムが全て置き換わった組換え体を選抜した。更に、この組換え体を宿主細胞にして、もう1つ残ったD1遺伝子を抗生物質耐性遺伝子カセットで置き換え、D1タンパク質を作ることのできない組換え体の作製を試みた。
組換え体を何とか得ることができたので、更に、培養条件を検討し、培地に必要な糖の種類、濃度、培養時の光強度などを調べた。現在のところ、最適な条件ではないが、生育可能な条件までは見つけることができた。今後、最適な条件(特に糖の濃度と光とpH)について網羅的に探索し、組換え体の光化学系IIの有無、光合成活性について調べる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通りに進んでいる。本研究では、2回の遺伝子の組換えが必要である。これまでの経験上、組み換える順序によって目的の組換え体が得られたり得られなかったりするので、今回は、糖の取り込み遺伝子を挿入してから残ったD1遺伝子をノックアウトするアプローチと、まず1つのD1遺伝子をノックアウトしてから残りの2つの遺伝子部分に糖の取り込み遺伝子を挿入する2つのアプローチで行った。実際、得られたものは同じように糖が無ければ生育できなない性質であったが、糖の取り込み濃度に違いがあり、どちらかの組換え体に別の変異が入っている可能性がある。現在、性質について詳細に調べている途中である。

今後の研究の推進方策

今後は、得られた組換え体について、培養条件を検討した後に、光合成機能がどの程度低下したかについて調べる。更に、ノックアウトしたD1遺伝子に部位特異的変異を導入した遺伝子を再度導入し、光合成しないでも目的の光化学系II複合体が得られるかどうかを調べる。

次年度使用額が生じた理由

実験は順調に進んだが、当初の予定ほど数のクローンの解析をせずに組換え体が得られたために、高価な酵素の使用頻度が少なくなった。予定していなかった培養条件の検討が必要になったが、必要な試薬が酵素ほど高価でなかったために、物品費を少なくできた。また、旅費に関しては、国際学会の招待講演で先方が旅費を負担してくれたことから、支払いがなかった。

次年度使用額の使用計画

物品費は次年度の更なる解析に用いたい。予定では、当初の予定よりも進んだ実験(特に新たな組換え体)ができそうなので、それの選抜や解析に利用したい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] CNRS(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      CNRS
  • [雑誌論文] Assembly of oxygen-evolving Photosystem II efficiently occurs with the apo-Cytb559 alone but the holo-Cytb559 increases the recovery rate of a functional enzyme upon photo-inhibition.2015

    • 著者名/発表者名
      Sugiura, M., Nakamura, M., Koyama, K., and Boussac, A.
    • 雑誌名

      Biochim. Biophys. Acta (Bioenergetics),

      巻: 1847 ページ: 276-285

    • DOI

      10.1016/j.bbabio.2014.11.009

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Electron transfer pathways from the S2-states to the S3-states either after a Ca2+/Sr2+ or a Cl-/I- exchange in Photosystem II from Thermosynechococcus elongatus.2015

    • 著者名/発表者名
      Boussac, A., Rutherford, A.W, and Sugiura, M.
    • 雑誌名

      Biochim. Biophys. Acta (Bioenergetics)

      巻: 576-585 ページ: 1847

    • DOI

      10.1016/j.bbabio.2014.11.009

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Engineered Themosynechococcus elongatus mutant growing under photoheterotrophic conditions2015

    • 著者名/発表者名
      Miwa Sugiura
    • 学会等名
      Gordon Research Conference: Photosynthesis
    • 発表場所
      Boston, U.S.A.
    • 年月日
      2015-06-28 – 2015-07-03
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 光合成のエネルギー変換と物質変換 ~人工光合成をめざして2015

    • 著者名/発表者名
      杉浦美羽
    • 総ページ数
      281
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2017-01-06  

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