研究課題
本研究は、光合成機能を失っても外から取り込んだ炭素源を使って生育できる「光従属栄養成長可能な」好熱性シアノバクテリアを作製して光合成研究の基盤を構築し、これまで作製不可能であった組換え体を作製して解析することを目的として行った。研究計画段階で、本研究は主に、(1) 糖を取り込んで生育可能なT. elongatusゲノムから、3つの光化学系II反応中心タンパク質D1遺伝子をノックアウトした組換え体の作製、(2) (1)について、光化学系IIを構成するサブユニットタンパク質の分析と光合成機能の評価、(3) (1)の組換え体への本来は致死を引き起こす組換えを施したD1遺伝子の挿入による組換え体の作製、(4) (3)で得られた光化学系II複合体の精製と機能解析による研究基盤の完成かどうかの評価、の4つの課題を計画していた。実際に、(1)から(3)までは完成し、D1遺伝子をノックアウトしても糖を培地に添加することによって野生型と殆ど同じ速度で生育する組換え体を得ることができた。D1タンパク質は光化学系II複合体を構成する1つのサブユニットであるが、組換え体においては、D1のみならず、他の光化学系IIを構成するタンパク質についても、少なくともチラコイド膜上では検出されず、光化学系II複合体が形成できないことが分かった。しかし、細胞のクロロロフィルの2つの吸収バンド波長がシフトしており、光化学系IIがないストレスにより、クロロフィル結合タンパク質CP43'が大量に発現することを見いだした。(4)については組換え体は完成し、現在タンパク質と機能について解析中である。
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J. Biol. Chem
巻: 印刷中 ページ: -
Biochim. Biophys. Acta (Bioenergetics)
巻: 1857 ページ: 1943-1948
10.1016/j.bbabio.2016.09.012