研究課題/領域番号 |
15K14499
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 主税 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究グループ長 (00357146)
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研究分担者 |
海老原 達彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (00344119)
岡田 知子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 上級主任研究員 (30344146)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電子顕微鏡 / バイオイメージング / 電子線励起 / 光電子相関顕微鏡 / 転移性がん細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、大気圧走査電子顕微鏡(ASEM)により電子線励起蛍光Cathodeluminescenceの観察を実現し、水中で細胞や微生物の微細構造解析に着手することを目指す。我々が新規に開発した大気圧走査電子顕微鏡(ASEM)は、専用に開発した3.5cmディッシュ中央にある100nm厚の薄膜上のサンプルを水中または大気中で反射電子検出により観察できる。電子線走査位置ごとの反射電子として薄膜下に戻ってくる量を画像化するため、輝度値の違いによる白黒画像となる。しかし、電子線により高効率で励起でき、高輝度の蛍光を放出できる蛍光物質が未だに見つかっていないために、それをラベル物質として用いた多色観察は未だに実現していない。適した蛍光物質をスクリーニングし、高効率に観察することで、電子線に励起された複数種蛍光の観察実現を目指す。本年度は、電子線照射に対してタフな酸化亜鉛ZnOの粒子に着目し、様々なサイズの粒子を電子線の加速電圧や照射量を変えながら観察した。次にqDotを2種類とタンパク質蛍光2種類の観察を集中的に行った。また、観察装置的にはASEM上部の光学系に通常型CCDとEM-CCDを検出カメラとして設置して観察を行った。結果はEGFPとGFPでは、残念ながら全く蛍光は観察できなかったが、ZnO粒子ではEM-CCDと通常CCDの両方で明解な蛍光が検出でき、EM-CCDでは数micro meterサイズの極めて小さなZnO粒子が観察できた。qDotの結果は、検出限界に近く微妙である。最適な、電子線励起蛍光物質を見つけ、最終的にはこれらの粒子を用いて細胞や微生物の観察を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの電子顕微鏡による水中観察では、電子線で高効率で励起できる適した蛍光物質が見つかっていないために、多色観察は実現していない。ここでは適した蛍光物質をスクリーニングすることで、電子線に励起された蛍光の観察実現を目指した。酸化亜鉛ZnOの粒子を観察し、次にqDotを2種類と、タンパク質蛍光2種類の観察を集中的に行った。結果としてqDotの結果は未だ微妙である。しかし、ZnO粒子ではEM-CCDと通常CCDの両方で明解な蛍光が検出でき、EM-CCDでは数micro meterサイズの極めて小さなZnO粒子が観察できたため。
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今後の研究の推進方策 |
ZnOでは明解な蛍光が検出できたが、EM-CCDでは数micro meterサイズの極めて小さなZnO粒子が観察できた。しかし、qDotを用いた予備検討では、EM-CCDを使っても結果は微妙であった。そのため、本年度は蛍光観察条件を検討しながら、qDotサンプルとして放出蛍光の波長が異なる数種類をさらに加え、また近年注目される半導体蛍光物質を幅広くスクリーニングする。全体として、スクリーニングの対象幅を拡げ観察条件を変えながら粘り強く研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額152円は端数として残ったものであり、最後にちょうどそこに入る購入品がみつからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
この残額に入る消耗品が見つかり次第、使用する予定である。
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