研究課題/領域番号 |
15K14504
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
岸本 健雄 お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 客員教授 (00124222)
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研究分担者 |
奥村 英一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (00323808)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 卵成熟 / ホルモン受容体 / ヒトデ卵 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒトデ卵を用いて、卵成熟誘起ホルモン(1-methyladenine, 1-MeAde)の卵表受容体の分子実体を明らかにすることを目指しており、本年度には以下の点が判明した。 1.1-MeAde固定化ナノビーズを作製し、単離したヒトデ卵表層を可溶化して、1-MeAde結合タンパク質をアフィニティー精製したところ、p97、p92、p42の三種のタンパク質が得られた。 2.1-MeAde固定化ナノビーズに吸着した1-MeAde結合タンパク質を1-MeAde添加によって遊離させ、それをゲル濾過したところ、p97、p92、p42は挙動をともにした。この結果は、1-MeAde結合タンパク質は、p97、p92、p42の複合体であることを示している。 3.p97、p92、p42それぞれの部分アミノ酸配列を決定し、それぞれのcDNAのクロン化を試みた。その結果、最終的には、終止コドンを1つ含む全長約5.4 kbのcDNAが1種得られ、その中にはp97、p92、p42の全ての部分アミノ酸配列がコードされており、全長をコードするタンパク質はRendezvin(Rdz)のヒトデホモログと判明した。 4.Rdz全長のアミノ酸配列中には2カ所、プロテアーゼFurinの切断モチーフが存在し、この切断によって産生されると予想される3つのペプチドの分子量は、ほぼp97、p92、p42に相当した。そこで、reticulocyte lysates中で全長Rdzをin vitro合成し、それをヒトFurinで処理したところ、p97、p92、p42に相当するタンパク質が検出された。これらの事実は、1-MeAde結合タンパク質は、Rdz全長タンパク質が翻訳後プロセシングによって、Furinで2カ所切断されて得られる3つの断片から構成されることを支持している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の出発点となるこれまでの予備的な実験結果のうち、Rdzについては、きっちりと再確認するとともに、その翻訳後プロセシングという新たな知見を得ることができた。しかし、本申請の作業仮説となっているRdz結合タンパク質までには、十分に手が回っていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の「現在までの進捗状況」をふまえて、今後は、Rdz結合タンパク質の解析にも注力したい。それとともに、今回、新たに見出したRdzの翻訳後プロセシングについて、さらに解析を深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの予備的な実験結果の確証に、相当な労力をつぎ込んだので、研究費の使用額が少なくてすんだ。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度に積み残した実験も第二年度で行うので、そこで活用したい。
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備考 |
従来は東工大時代のwebページで代用していたが、近いうちにお茶大で作成の予定。
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