本研究では、多数の膜タンパク質について生細胞内で1分子拡散動態解析を行い、その運動性(運動モードや拡散性)を網羅的に解析する手法を確立した。その実現のために、(1)ハイスループット化した細胞内1分子顕微鏡の開発、(2)計測対象となる蛍光標識タンパク質の安定発現株の作成、(3)1分子トラッキングと拡散統計解析の自動化を実施した。これら全ての項目について目標を達成した。こうした網羅的解析により、膜タンパク質の構造(膜貫通領域から推定されるタンパク質の半径)と拡散係数の間にSaffman and Delbruckモデルで記述されるような比較的単純な関係が成立する可能性が示唆された。
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