研究課題/領域番号 |
15K14510
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小池 雅昭 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (10598402)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / UPR / FRET / バイオセンサー |
研究実績の概要 |
今年度は、主に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)システムを利用した、哺乳類培養細胞における小胞体ストレスを認識するバイオセンサーの開発に取り組んだ。哺乳類発現ベクターであるpcDNAベクターに蛍光タンパク質CFPとVenusをタンデムにつなげたコンストラクトを用い、その蛍光タンパク質の両端に、それぞれ小胞体へ局在させるためのcalreticulinの小胞体移行シグナル配列と、小胞体保留シグナルとしてKDEL配列を付加したコンストラクトを作製した。次に、小胞体ストレスのセンサー部位として、CFPとVenusの間にヒトIRE1αタンパク質の自己集合領域であるcore stress-sensing region (CSSR)と、BiPタンパク質との結合領域であるSubregion-Vをタンデムに組み込んだ。このコンストラクトをHeLa細胞、またはMEF細胞に一過的に発現させたところ、CFP、もしくはVenusタンパク質の小胞体への局在が確認できた。今後は、様々な小胞体ストレス条件下により、このFRETバイオセンサーが実際に機能するかを確かめていく。また、多くのFRETバイオセンサーは安定発現細胞株を用いることで、再現性の高いデータが得られることが知られている。そこで今後は、得られたFRETバイオセンサーを安定的に発現する細胞株を樹立し、それらの細胞株を用いて小胞体ストレスによる挙動を詳細に調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたFRETバイオセンサーのコンストラクトが完成し、その作製したFRETバイオセンサーが小胞体へ局在することが確認できた。今後は、小胞体ストレス処理により、FRETバイオセンサーが機能するか調べていく。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、作製したFRETバイオセンサーが機能するかを調べていく。もしもうまく機能しない場合には、センサー部位のCSSR領域とSubregion-Vの並びや、間の距離などを変えたりするなどの工夫を行う。また、多くのFRETバイオセンサーは安定発現細胞株を樹立することで、再現性の高いデータが得られているため、機能したFRETバイオセンサーが得られた際には、安定発現細胞株の樹立を行い、小胞体ストレスによる挙動を調べていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主にコンストラクトの開発に費やしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、さらなるバイオセンサーの改変に加え、安定発現細胞株の作製など培養細胞を用いた実験が増えることが考えられる。
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