研究課題
本申請者らは、ペルオキシソームマトリクスタンパク質輸送障害性CHO細胞変異株ZP114の相補遺伝子産物として、ミトコンドリア外膜のVoltage-Dependent Anion Channel(VDAC)を同定した。本申請研究は、VDACによるペルオキシソームマーカータンパク質である過酸化水素分解酵素、カタラーゼの細胞内局在制御の分子機構解明を基盤として、その背後に存在が想定される「活性酸素種酸化ストレスに応答したペルオキシソームとミトコンドリアの協奏的新規細胞機能恒常性維持機構」の全貌解明を目的とする。H28年度は引き続きVDAC2によるカタラーゼのサイトゾルへの局在変化の分子機構の解明に取り組み、VDAC2を受容体としてミトコンドリアに輸送されアポトーシス促進因子として機能するBAKが直接の介在因子であることを見出した。結果として、定常状態では主にVDAC2と結合し不活性型としてミトコンドリア外膜上に存在するBAKが、ZP114細胞においてはVDAC2欠損によりペルオキシソームにも一部局在化し、カタラーゼのペルオキシソームからサイトゾルへの放出に関与することを明らかにした。カタラーゼのサイトゾル局在化による過酸化水素処理依存的なアポトーシス誘導の抑制、および野生型CHO細胞における過酸化水素処理によるカタラーゼのサイトゾルへの局在変化等、前年度に見出していた結果を含めた統合的な解析により、広く知られたミトコンドリアでのBAKによる細胞死亢進とは逆に、ペルオキシソーム局在性BAKの活性化は、カタラーゼの放出を介して抗酸化ストレス反応として作用するという世界で初めてのアポトーシス制御機構を明らかにした(J. Cell Biol. 216: 709-721; Spotlight article)。一流国際誌: PNAS, Mol. Cell Biol.などにも取上げられた。
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