研究課題
プログラム細胞死は多細胞生物において形態形成や組織の恒常性維持などに関わっており、長年アポトーシスの解析が中心に行われたきた。しかし、我々を含む一部の研究者はこれまで看過されてきたプログラム細胞死における非アポトーシス型細胞死の関与の重要性を提唱してきている。本研究では我々が開発した非アポトーシス型細胞死のin vivoイメージング法用いて、これまで網羅的・定量的解析が可能でなかったマウスの個体内での非アポトーシス型プログラム細胞死の時空間的地図を作製し、同時に関与する細胞死機構の割り出しに種々のノックアウトマウスを利用し、哺乳動物におけるプログラム細胞死の真の理解を目指すものである。PIのシグナルの位置情報をより正確にまた俯瞰的に把握するためにPIシグナルを維持できる透明化技術を模索し、BABB法(Murray’s Clear)が適していることを明らかにした。この手法により、E14.5左心室のtrabeculae carneae領域に非常に強いシグナルを見出した。ここは心筋の壁に「ひだ」が形成される時空間域であり、形態形成に関与したプログラム細胞死の可能性が考えられ、非常に興味深い。今後は、このプログラム細胞死を含め他の領域で確認されるプログラム細胞死を種々のノックアウトマウスを用いて解析し、関与する因子の同定に向け情報を収集する。
2: おおむね順調に進展している
PIシグナルの空間配置をより正確にまた網羅的、俯瞰的に捉えるために、PIシグナルを保存した形でマウス胚の透明化に成功しており、この技術は胚発生期に起こるプログラム細胞死の時空間マップを作製するに当たり、非常に有用でかつ研究のスピードアップにつながる技術となっている。
マウス胚を透明化する技術を用い、ネクローシス型プログラム細胞死の時空間マップを作製するとともに、心臓で確認できたプログラム細胞死を含め他の領域で確認されるプログラム細胞死を種々のノックアウトマウスを用いて解析を行い、関与する因子の同定に向けた情報を収集する。
マウスの胚発生期にみられるネクローシス型プログラム細胞死の時空間マップの作製を始めていたものの、その目的に対しより有用であるマウスの透明化法の確立に精力を注いだため、時空間マップの作製やノックアウトマウスを用いた解析を少し後送りにしたため。
繰越した研究費を含めた研究費をフルに利用し、透明化技術を用いることによる研究遂行のスピードアップを通し、本研究の目的を達成する。また、心臓で観察された興味深いプログラム細胞死についてその理解を深めるための解析を行う。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Acta Neuropathol. Comm.
巻: 4 ページ: 27
10.1186/s40478-016-0298-3
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