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2016 年度 実施状況報告書

タンパク質とゲノムの相互作用を組織特異的に検出する方法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K14527
研究機関高知工科大学

研究代表者

蒲池 雄介  高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (90263334)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード転写因子 / クロマチン免疫沈降法
研究実績の概要

クロマチン免疫沈降法(ChIP)は、細胞内におけるタンパク質とゲノムDNAとの相互作用を研究するためのすぐれた手法である。この手法は胚における遺伝子発現制御を解析する上でも重要な手法となり得るが、ChIPに適した高品質の抗体が必要となるなど、現在はさまざまな技術的な制約がある。本研究は、目的タンパク質にビオチンタグを導入することで、タンパク質-DNAの相互作用を動物胚の特定の組織で高感度に検出する、汎用性がきわめて高い方法の開発を行うことを目的にしている。ビオチン化酵素を特定の組織で発現させることで、その組織のみにおける相互作用が検出できる新規のシステムを構築する。
本年度は、ビオチンタグを用いたChIPをゼブラフィッシュ胚で効率的に行うための条件検討を引き続き行った。この実験では、ビオチンタグを付加したSox転写因子とビオチン化酵素のmRNAを胚に同時に顕微注入し、必要とされるビオチン化酵素の発現量を検討した。また、内在のビオチンだけでは、ビオチン化が十分でなく、ビオチンを飼育水に添加する必要があることも見いだした。
さらに、予備的な実験からビオチンタグを別のタグとタンデムに連結して用いることで、格段にタグの応用範囲が広がる可能性が出てきたことから、ビオチンタグと組み合わせて用いるのに適したタグの検討を行った。FLAGタグを含めて複数のタグに関して、タグ・モノクローナル抗体・複合体回収のための磁気ビーズについて、さまざまな組み合わせを試してみたところ、ゼブラフィッシュにおいて効率的にChIPが実施可能な特定のタグ・抗体・磁気ビーズの組み合わせを複数見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究代表者は、平成27年度に大阪大学から高知工科大学へと所属が変更になった。これに際して、ゼブラフィッシュ飼育用の水槽設備の移設を平成27年に行ったが、水槽設備の再構築に際し水カビの異常繁殖が起こり、水槽システムの維持が非常に困難な状態が長期化した。平成28年に入ってもこのような状況がしばしば生じたため、ゼブラフィッシュの胚を利用した研究が困難な期間が長期間にわたってしまった。このため、研究計画に遅延が生じたが、この問題はほぼ解決したため、今後は計画に沿って研究を進めることが可能である。

今後の研究の推進方策

(1)これまでの実験でChIPやタンパク質のアフィニティ精製にも利用可能な応用範囲が広いビオチンタグと別のタグをタンデムに連結したダブルタグの準備ができたので、今年度はこのタグ配列をCRISPR-Casシステムを用いてsox11遺伝子のコード配列のC末端相当部にノックインする。最終的にはsox11aならびにsox11bの両遺伝子に別の組み合わせのダブルタグ配列が挿入されたトランスジェニックフィッシュを確立する。
(2) ゼブラフィッシュ胚の特定の組織でBirA酵素を発現させるためにGAL4-UASシステムを利用する。このためのUAS-BirAトランスジェニックフィッシュを確立する。
(3) ダブルタグを利用したクロマチン免疫沈降法をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者は、平成27年度に大阪大学から高知工科大学へと所属が変更になった。これに際して、ゼブラフィッシュ飼育用の水槽設備の移設を平成27年に行ったが、水槽設備の再構築に際し水カビの異常繁殖が起こり、水槽システムの維持が非常に困難な事態となってしまった。この問題が平成28年に入ってもなかなか解決しなかったため、ゼブラフィッシュの胚を利用した研究が困難な期間が長期間にわたってしまった。このため、胚を利用する実験の一部を平成29年度にも行う必要が生じた。

次年度使用額の使用計画

CRISPR-Casシステムを用いるノックインに関連する実験に必要な分子生物学用の試薬に使用する。また、ビオチンタグを利用したクロマチン免疫沈降法に必要な試薬、次世代型シーケンサー用の試薬に使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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