研究課題
Chu & Sokol (2016)によって示された、GFP-Pk3を用いてXenopus胚でPCPを可視化する系を応用して、過剰発現させたWnt11とPCP因子の局在の関係を解析したところ、Wnt11発現細胞に隣接する細胞辺ではPk3が少なく維持される一方、Pk3とは逆方向の辺に局在するFz7はWnt11発現細胞に隣接する辺に集積した。更にWnt11-EGFPの分布がmCherry-Pk3の発現に影響されるという予備的結果を得た。つまりWntの分布自体がPCP因子の影響を受けることが示唆された。また拡散しないと考えられる膜結合型のWnt11を作成し、Pk3の局在に与える影響を検討したところ、膜結合型Wnt11発現細胞から約3細胞程度離れたところまでは細胞の極性化が起こることが示唆された。ただし、同じ系において、通常の分泌型のWnt11は20細胞以上に渡って細胞の極性を揃えられることから、拡散現象の必要性も同時に示唆される。以上より作業仮説として、以下のプロセスが考えられる。(i)Wnt11はローカルに発現細胞に隣接する細胞のPCP因子の局在を制御する。(ii)PCP因子の相互作用により細胞の極性化が数細胞の範囲で波及する。(iii)PCP因子の効果によりWnt11が少し離れたところに局在できるようになる。この新たに局在化したWnt11は(i)同様の効果をもつ。このモデルは(i)-(iii)が繰り返されることで、分布範囲が狭いWnt11蛋白質がどのようにして広い範囲の細胞極性を揃えられるのかという問題をうまく説明できる。今後は現在のところ有力な、グローバルなWnt11の濃度勾配によって極性が揃うというモデルを対立仮説として、それらのどちらが正しいかを判別できる実験を行う予定である。
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Development, Growth & Differentiation
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Nature Communications
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http://www.nibb.ac.jp/cib2/