上皮組織の形態形成は、個々の細胞が細胞運命に従って適切に形態を変化させることで生み出される力によって駆動される。いくつかの場合において異なる運命を持つ細胞同士が互いを認識し、自身の振る舞いを制御する。運命決定因子により規定されるトランスクリプトーム状態が、その自他認識に関わると考えられるが、詳細については不明な点が多い。その解明に向けた全ゲノムレベルでの情報基盤を構築するために、まずショウジョウバエ初期胚を対象とした1細胞RNA-seq手法を確立し、251細胞分の1細胞RNA-seqデータを取得した。そして、細胞ごとに発現状態が異なる様々な自他認識制御の候補因子群を同定することに成功した。
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