被子植物は稀に侵入する2本目の花粉管によって受精卵が重ねて受精をしないよう,精細胞を拒絶する仕組みを持つ.この多精拒否の仕組みを調べるため,2本目の花粉を高頻度に誘引するシロイヌナズナ変異体で精細胞を含む花粉管内容物の挙動を調べた.その結果,花粉管内容物が受精領域に留まるという予想に反し,約5%という高い割合で胚乳まで到達している様子が観察された.この多精の回避に有効と思われるユニークな現象について様々な変異体を用いた解析を行ったところ,受精した胚珠における助細胞と胚乳の融合を必要とすることが推測された.これを検証するため,助細胞胚乳融合に欠損を示す変異体を探索,その分離に成功した.
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