研究課題/領域番号 |
15K14542
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 良勝 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任講師 (30414014)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オルガネラ分布 / 化合物ライブラリースクリーニング |
研究実績の概要 |
植物細胞における葉緑体の適切な配置は、植物が光合成によるエネルギー生産を効率良く行う上で重要な問題である。本研究の目的は、植物細胞内のオルガネラ分布機構を制御する新規因子を化合物ライブラリースクリーニングから見出すことである。今年度は、昨年度に引き続きヒメツリガネゴケ原糸体を用いて化合物ライブラリースクリーニングを行い、合計20000化合物のスクリーニングを完了した。スクリーニングは、ヒメツリガネゴケ破砕液を96ウェルプレートに注ぎ、電動顕微鏡上で各ウェル4点をタイル状に自動撮影し、貼り合せ機能により広い視野を獲得する方法を用いて行った。さらに、化合物濃度、処理日数を変えた2次スクリーニングを行ったところ、処理日数を増大させることにより薬効効果が弱まる化合物が見られた。そこで、培養中の光による化合物の分解の可能性を考え、さらに暗所での薬効効果も合わせて行った。これらのスクリーニングを行った結果、細胞内の葉緑体配置に影響を与える9つのヒット化合物を同定した。次に、これらのヒット化合物の構造活性相関を行った結果、4つのグループに大別された。このことは、葉緑体の分布を制御する複数の因子に対する化合物が得られている可能性が考えられる。現在、植物内のターゲット因子同定に向けて、構造活性相関から予測される類似化合物から薬効効果が強化された化合物を選抜中である。一方、これらのヒット化合物の他のオルガネラ配置に対する影響を調べるため、核、ミトコンドリア、ペルオキシソームのマーカーラインを作出中であり、核マーカーに関しては既に安定形質転換体が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の基盤となる20000化合物ライブラリースクリーニングの一次スクリーニング過程において、処理日数や光条件により薬効効果に違いが見られることを見出した。化合物の光分解の可能性を考慮して、処理日数、光条件による作用の違いを化合物濃度を変えて再度スクリーニングを検討したため、当初の計画よりも候補因子の選抜に多くの時間を要した。その結果、ヒット化合物のターゲット同定に向けたオルガネラ分布を制御する4グループに大別される9つの候補化合物が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
9つのヒット化合物の活性には構造的な相関があり、4グループに別れたことは時間を費やしたものの、本研究の基礎となるスクリーニング自体はおおむね成功していると考えている。今後はヒット化合物の構造活性相関を行った結果から、薬効が強化された化合物の同定を行う。次に、ヒット化合物を標識し、細胞抽出液中から相互作用する標的因子の探索を行う。また、これらの化合物のミトコンドリア、ペルオキシソームなどのオルガネラ配置への影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の要となる化合物ライブラリースクリーニングにおけるスクリーニング法の見直しを行い、確実に候補化合物がヒットすることを重視したスクリーニング方法に変更した。このため、スループット性が落ちたため、候補化合物の構造活性相関から予測される類似化合物の購入に伴う費用に関して、次年度に持ち越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒット化合物の構造活性相関を行った結果、複数のグループに大別できた。葉緑体の分布を制御する複数の因子に対応する化合物が得られている可能性があり、今後はターゲット因子同定に向けて、薬効効果が強化された化合物を構造活性相関から予測される類似化合物から選抜し、それらの化合物を選抜する予定である。次年度は、これらの薬効効果が強化された化合物候補の購入や、オルガネラマーカーライン作出に伴う分子生物学用の消耗品に使用する予定である。
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