植物の外力に対する応答は、植物生理学の重要かつ興味深いテーマであり、重力屈性や木本における「当て材」の形成はそのよい例である。しかしながら、植物細胞にコントロールされた力学刺激を加えながら細胞応答を観察するような研究はまだ少ない。本研究では、高精度Z軸ステージを用いた実験系を開発し、シロイナズナ芽生えの表皮細胞において、圧迫により可逆的に細胞質の流動性が低下することを示した。また、外液の浸透圧を変化させる実験を行い、この応答が細胞壁や細胞膜にかかる応力の変化によって生じるのではなく、細胞の変形に対する応答であることを見出した。これは新奇の細胞応答であり、今後の研究の進展が期待される。
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