研究課題/領域番号 |
15K14546
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 博和 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10589922)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 細胞、組織 / 植物 |
研究実績の概要 |
高等植物のクチクラは表皮細胞の外界側に形成され、水分の保持や形態形成に必須の役割を担っている。クチクラ形成には表皮細胞がクチクラ合成酵素の遺伝子群を適切に発現し、細胞の外界側のみにクチクラ関連物質を排出することが必要であると考えられる。しかし、クチクラ合成酵素の発現制御機構は断片的にしか理解されておらず、クチクラ形成の空間的制御の分子機構はほとんど明らかになっていない。本研究ではクチクラ形成の新規阻害剤を単離し、その作用点についての情報を得ることで、クチクラ形成の分子機構の一端を解明することを目標とする。シロイヌナズナのクチクラ形成を阻害する薬剤として同定した化合物について、クチクラ形成に関わるABCトランスポーターであるABCG11の局在に対する影響を解析し、2つの化合物が GFP-ABCG11 の細胞膜局在を乱すことを見いだした。また、これらの化合物はシロイヌナズナの芽生えの根の生長も阻害することがわかった。この表現型を指標として耐性変異体のスクリーニングを行い、約 10,000 系統相当のライブラリーから2系統の耐性変異体の候補を単離した。また、クチクラ形成に関わるタンパク質の分布を可視化するためのマーカーを作出し、研究材料の整備を進めた。本年度はクチクラ形成に関わる BDG-YFP を発現する形質転換シロイヌナズナ (pBDG::BDG-YFP) を作成し、芽生えの地上部の表皮細胞での発現を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの新規クチクラ形成阻害剤の作用に関する新しい知見が得られたため。
|
今後の研究の推進方策 |
阻害剤耐性変異体の候補について、原因遺伝子のマッピングと遺伝子クローニングを進める。ABCG11 以外のクチクラ関連遺伝子に対する阻害剤の効果の解析も進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
効果が認められた阻害剤に耐性を示す変異体のスクリーニングを優先したため、H27年に購入し、効果を解析する予定であった新規化合物を翌年度に購入することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
技術補佐員を雇用するための人件費と新規化合物の購入、消耗品費、旅費などに使用する。
|