研究課題
本研究は、維管束植物の茎の組織形成および放射パターン形成の機構を理解することを大きな目標として、茎の基本組織である内皮細胞層に注目し、研究材料の工夫と近年開発された観察技術を利用して、茎頂分裂組織(Soot Apical Meristem:SAM)における内皮幹細胞および内皮形成関連遺伝子群を同定する。これにより内皮形成機構の解明に向けた研究基盤を整備する。特に本研究では、側方器官である花芽を形成しないpin-formed1 (pin1)変異体をモデルとして、茎の内皮幹細胞の同定と、内皮形成の機構解明に取組んだ。これまでに茎の内皮を欠失するshort-root (shr)変異体、およびscarecrow (scr)変異体と、ピン状の茎頂を持つpin1変異体との二重変異体(pin1 shr、pin1 scr)を作出した。また、茎の内皮特異的マーカー遺伝子として、SCR遺伝子のプロモーターの制御下で核局在レポータータンパク質などを発現させるコンストラクトを、pin1変異体に交配により導入した。SAMで働く内皮特異的遺伝子や内皮形成関連遺伝子を効率よく同定する目的で、これらの花茎SAMの遺伝子発現プロファイルを比較するためのサンプル検討を行った。さらにまた、pin1、pin1 shr、pin1 scr変異体を用いて、マイクロアレイ解析による茎頂部の遺伝子発現プロファイル比較を行い、茎の内皮細胞特的遺伝子候補や内皮形成関連遺伝子候補を探索した。これらの解析を通して、維管束植物の茎の内皮形成機構の解明に向けた研究基盤の整備が進み、今後、SAMにおける内皮幹細胞および内皮形成関連遺伝子群を同定につながることが期待される。
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Development
巻: 143 ページ: 3363-3371
doi: 10.1242/dev.135319
http://www.edu.kobe-u.ac.jp/fsci-biol/faculty/fukaki.html
http://www.research.kobe-u.ac.jp/fsci-fukaki/fukaki/fukaki_laboratory.html