研究課題
形態学的な性差がみとめられる神経核は性的二型核と呼ばれ、様々な動物種の脳に存在することが知られている。しかし、性的二型核の種間を超えた普遍性あるいは種差に関する知見は乏しい。マウスの脳には雄優位な性的二型核である分界条床核主核とカルビンディンSDN、および分界条床核主核とカルビンディンSDNの間に位置する雌優位な性的二型核であるサンドイッチ領域が存在する。本研究では、これらの性的二型核が他の動物種にも存在するか否か調べ、脳の性差に関する種差を考察することを目的にした。ウズラとスンクスを用いて、マウスの分界条床核主核とカルビンディンSDNのマーカータンパク質であるカルビンディンの免疫組織化学解析を前年度に実施した。その結果、スンクスにはカルビンディンSDNが存在することが明らかになった。スンクスの分界条床核はカルビンディンを殆ど発現していないかったが、カルビンディンを発現しない細胞より構成される雄優位な性的二型核があることが分かった。ウズラにはカルビンディン発現細胞が乏しく、分界条床核主核とカルビンディンSDNは同定できなかった。本年度は、ゼブラフィッシュとコモンマーモセットを解析した。その結果、ゼブラフィッシュの脳には他の動物では発現していたカルビンディンが検出されなかった。コモンマーモセットの脳にはカルビンディン発現細胞で構成される雄優位な性的二型核として分界条床核主核とカルビンディンSDNを同定することができた。また、コモンマーモセットでは他の動物種ではみられなかったカルビンディン発現細胞の集団が視床下部領域に存在することが明らかになった。さらに、マーモセットではマウスのサンドイッチ領域に相同する部位が発見された。以上のように、性的二型核の種差や類似性を考察する上で有用な研究知見が得られた。
すべて 2017 2016
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