研究課題
グレリンの側鎖修飾に用いられる中鎖脂肪酸の由来について、マウスとグレリン産生細胞株を用いて検討を行った。中鎖脂肪酸の由来を明らかにすることを目的とし、「食餌」、「腸内細菌」、「生体内合成系」に注目した。まず、普通食と無脂肪食を3週間与えたマウスにおいて、血漿アシルグレリン濃度と胃のアシルグレリン細胞数を比較した結果、普通食群と無脂肪食群の間に有意な差は認められなかった。抗生物質を用いた腸内細菌除去実験では、通常のマウスと比較して、血中アシルグレリン量と胃のアシルグレリン細胞数は変化しないことが示された。また、グレリン産生細胞株であるPG-1細胞に脂肪酸合成や代謝に関与する酵素のmRNAが発現していることを確認した。以上の結果から、無脂肪食や腸内細菌除去がアシルグレリン産生に影響を与えないことが明らかとなり、グレリン側鎖修飾に利用される中鎖脂肪酸を産生する生体内合成系が存在する可能性が示唆された。そこで、マウスへ脂肪酸合成酵素(FAS)阻害剤処理を行った結果、血漿アシルグレリン産生は低下しなかった一方で、PG-1細胞にFAS阻害を行うとアシルグレリン産生量が低下した。PG-1細胞にβ酸化阻害剤であるエトモキシルを処理すると、FAS阻害の効果と比較してより強くアシルグレリン産生が抑制された。これらのことから、グレリン側鎖に利用される中鎖脂肪酸の由来には、長鎖脂肪酸をグレリン細胞に取り込み利用する割合が大きいことが示された。
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