研究課題
1.平成28年度までに同定した、ジョンストン器官への振動刺激に応答する119個の振動応答性ニューロンについてそれらの形態と生理応答をデータベース化し、その中から尻振りダンスに符号化された距離情報処理に関わる神経回路モデルを構築した。尻振りダンスに見られる特異的な時間構造のパルス振動に特異的に応答することが分かったDL-Int-1とDL-Int-2の蛍光光学切片データから、ニューロンの分枝に関するパラメータを算出した。さらに、電気生理学データから、刺激に対する応答様式と遅延時間を算出した。これらの情報に基づきDL-Int-1とDL-Int-2を素子とする神経回路をモデル化し、コンピュータシミュレーションにより、様々な持続時間、時間間隔のパルス振動に対する応答を調べた。その結果、ジョンストン器官とDL-Int-1間に抑制性ニューロンを介する必要性が示唆された。また、DL-Int-1とDL-Int-2の間の抑制性神経シナプスの存在により、DL-Int-1およびDL-Int-2の尻振りダンス振動刺激に対する応答特性を忠実に再現できることを発見した。2.ミツバチの距離と方向に関する情報統合に、上記1の神経回路が関与しているかを調べた。頸部の左右両側からピエゾ素子振動刺激装置で圧刺激を与えると同時に、触角ジョンストン器官への尻振りダンスで生じる空気振動を模したパルス状振動刺激を与え、応答様式を調べた。その結果、圧刺激の有無で、DL-Int-1とDL-Int-2の応答に顕著な違いは見られなかった。その結果、DL-Int-1とDL-Int-2は、距離の符号化には関わるが、方向の符号化には別の神経回路が関わっていることが示唆された。本実験の頸部への圧刺激が自然の尻振りダンス追従の際の頸部への刺激と同等であったかについては、さらなる検証が必要である。
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