研究実績の概要 |
本研究ではホモタリック種 V. africanus とヘテロタリック種 V. reticuliferus、ならびに、これら2 種とは系統的に大きく離れた「ホモタリック雌雄同体」V. ferrisii のMID/OTOKOGI オーソログを探索した (Yamamoto et al. Nozaki [員数9, 9番目]2017, PLOS ONE 12: e0180313)。その結果、これらホモタリック2種でMID/OTOKOGI オーソログの存在を明らかにした。また、得られたホモタリック 2 種と ボルボックス科ヘテロタリック数種のMID/OTOKOGI の外群からの同義・非同義置換率を調査したところ、同レベルの機能的制約がMID/OTOKOGI に働いていることが示唆され、ボルボックスのホモタリック種とヘテロタリック種に共通の「精子形成」というMID/OTOKOGI の機能が推測された。また、ホモタリックV. africanus におけるmRNA の群体別の発現解析から、雌雄同体群体ではMID/OTOKOGIの発現が抑制されることが明らかになった。更に、ボルボッス系列全体の祖先状態再構成(Ancestral state reconstruction)を実施して生殖形質の進化方向を推測した。その結果、ボルボックス系列の祖先状態再構成を実施し、これら2種を含む系統ではヘテロタリックからホモタリックが進化したと推定された(Hanschen et al. Nozaki [員数6, 5番目], Evolution 72-2: 386)。 従って、ヘテロタリックの祖先種のオスから MID/OTOKOGI 発現調節機能を獲得してホモタリック種の V. africanus が進化したという仮説を提唱した(Yamamoto et al. 2017)。
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