研究課題
昨年度に得られたトランスクリプトーム解析に加え、さらに再現性をとるために同様のトランスクリプトーム解析を嫌気および好気培養細胞を用いて行った。嫌気2サンプル、好気2サンプルの計4サンプルすべてのデータを用いてアッセンブルを行い、コンティグを得た。コンティグに対し、リードを再マッピングし、嫌気でより発現している遺伝子および嫌気では発現が抑えられている遺伝子を同定した。さらに、このように酸素の有無で発現量が異なる遺伝子がコードするタンパク質データセットから、ミトコンドリア標的配列を検出した。今回の解析ではピルビン酸:フェレドキシン酸化還元酵素やピルビン酸:ギ酸リアーゼなどが嫌気条件でより発現し、ミトコンドリアで機能するタンパク質として同定された。これらのうち、いくつかのタンパク質配列におけるN末端配列をGFPのN末端へ結合させたリコンビナントタンパク質を酵母細胞内で発現させた。その結果、ミトコンドリア局在を示し、同定された嫌気条件特異的タンパク質がミトコンドリア内で機能していることが示唆された。現在、これらの遺伝子が関与する代謝経路の全体像を把握するため、トランスクリプトームデータの精査と遺伝子探索を行っている。また、昨年度単離した嫌気性真核生物2種から抽出したRNAを用いてトランスクリプトーム解析を行った。現在、本種における嫌気環境でのエネルギー生産機構の推定をトランスクリプトームベースで行っている。
2: おおむね順調に進展している
予定通り、再現性のあるトランスクリプトームデータから定量的な比較解析ができた。また、予定通りミトコンドリア局在タンパク質の推定ができている。
研究計画通りに進展しているため、大幅な変更は必要ない。今後も研究計画通りに進めていく。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Nature Ecology and Evolution
巻: 1 ページ: 0092
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https://sites.google.com/site/ryomakamikawa/