研究課題
これまでに得られたトランスクリプトームデータから検出した発現変動のある核コード遺伝子群の機能アノテーションを行った。その結果、ピルビン酸の代謝、アミノ酸代謝、ギ酸の代謝に関して嫌気環境下で発現が上がることが分かった。逆に嫌気環境下で顕著に発現が下がる核コードの機能は今回の解析では見いだせなかった。ピルビン酸の代謝、アミノ酸代謝、ギ酸の代謝に関して、それらに関与するタンパク質の局在解析を行ったところ、多くのタンパク質はミトコンドリアで機能すると予想された。すなわち、嫌気環境下でミトコンドリアのプロテオームおよび機能のリモデリングが起こると考えられる。機能およびミトコンドリア局在シグナルの存在からミトコンドリアに局在するタンパク質の網羅的な同定を行ったところ、500種近いタンパク質が同定された。この数はこれまでに研究されている好気環境に生育する真核生物のミトコンドリアプロテオームと比較すると非常に少なく、嫌気環境に適応する進化過程でタンパク質数や機能が縮退したことを示唆している。ミトコンドリアゲノムにコードされている遺伝子の定量逆転写PCRを行ったところ、好気条件と比較して、嫌気条件では転写産物量が有意に低下していた。トランスクリプトーム解析によるデータと総合して考えると、好気条件では電子伝達系によるエネルギー生産を行い、嫌気条件ではピルビン酸・アミノ酸・ギ酸の代謝を介したエネルギー生産を主に行っていることが強く示唆される。
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