本研究では、好気でも嫌気でも生育可能な真核微生物を用いて、真核生物における好気から嫌気への適応進化の初期段階の解明を目的として研究を行った。ミトコンドリアに局在するタンパク質はトランスクリプトーム解析と細胞内局在解析から網羅的に同定し、好気環境と嫌気環境下では、エネルギー合成に関与する遺伝子が大きく異なることが判明した。分子系統解析から、嫌気エネルギー合成遺伝子は水平移動によって獲得したと考えられる。本研究から、好気から嫌気へのミトコンドリア適応進化に重要な初期イベントとして、嫌気用エネルギー合成遺伝子の獲得と、好気・嫌気における遺伝子発現制御が重要であると考えられる。
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