ツツザキヤマジノギク集団および三重ヤマジノギク集団の遺伝的関係を明らかにするためのRAD-seq解析 本年度は、ツツザキヤマジノギク集団および三重ヤマジノギク集団の遺伝的関係の明らかにするとともに、解析対象を広げて、ヤマジノギク種群(ヤマジノギク、ヤナギノギクvar. leptocladus、ソナレノギクvar. insularis、ツツザキヤマジノギクvar. tubulosus、ブゼンノギクvar. koidzumianus)に加えて、類似の形態・生育環境をもつ近縁種カワラノギクA. kantoensis、ハマベノギクA. arenariusの遺伝的関係を明らかにすることを目的とした。 上記各種・変種について日本・韓国の19 集団・計95個体からゲノムDNAを抽出し、ddRAD-seq法によって塩基配列を得た。TASSEL 3.0 UNEAK pipelineを用いて、2718 SNPsを取得した。さらに、本材料が全て4倍体であるため、RパッケージのpolyRADを用いて遺伝子型を決定し集団遺伝学的解析を行った。その結果、ツツザキヤマジノギク集団および三重ヤマジノギク集団が遺伝的に独立であるとは明確には示されなかった。愛知・高知のヤナギノギクはそれぞれ異なるクラスターに所属した。これは先行研究を支持する結果である。さらに愛知のヤナギノギクは、むしろ関東に生育する別種カワラノギクと遺伝的に近いことが示された。
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