研究課題
サンゴに共生する褐虫藻(Symbiodinium)は、遺伝的に9つの異なるグループ(Clade)にわけられ、それぞれのCladeにはさらに異なるタイプの褐虫藻が存在する。サンゴと褐虫藻との共生関係には種特異性があり、それぞれの褐虫藻タイプは、任意のサンゴ種とのみ共生関係を結ぶことができる。これまで、この種特異性は、サンゴや褐虫藻の細胞の表面に存在する認識タンパク質によって決まっていると考えられてきた。しかし、我々は前年度の研究で、種特異性には、「褐虫藻の細胞サイズ」と「サンゴの許容褐虫藻サイズ」が関与することを明らかにした。最終年度では、褐虫藻のCladeとサイズとの関係を調べた。実験には、カルチャーコレクションから入手した、Clade Aの12ラインとClade Bの14ラインを用いた。それぞれの細胞サイズはセルカウンター(Cellometer Auto X4, Nexelom)を用いて測定した。その結果、Clade Bの方がClade Aよりも顕著に細胞サイズが小さいことがわかった。このことは、Clade Bの褐虫藻の方が種特異性が低く、より多くのサンゴ種と共生関係を結べることを意味している。つまり、Clade Bの褐虫藻が豊富に存在する環境では、サンゴがより新たな褐虫藻を取り込み、環境適応しやすいといえる。これらの結果は、日本サンゴ礁学会第19回大会やThe 13th International Colloquium on Endocytobiology and Symbiosisで発表し、また国際誌のISME Jounalで論文発表した。
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ISME Journal
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10.1038/ismej.2017.17