研究課題/領域番号 |
15K14613
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70324605)
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研究分担者 |
青井 伸也 京都大学, 工学研究科, 講師 (60432366)
平崎 鋭矢 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70252567)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歩行分析 / バイオメカニクス / ニホンザル / マーモセット / 接地パターン |
研究実績の概要 |
本課題は、霊長類の四足歩行は、なぜイヌやウマといった一般的なほ乳類が採用するlateral sequence (LS)歩行ではなく、diagonal sequence (DS)歩行を採用しているのかを、四足歩行運動の動力学シミュレーションと、ニホンザルとマーモセットの四足歩行運動の生体力学的解析に基づいて明らかにすることを目的としている。本年は、動力学シミュレーションにより接地パターンの違いが歩行に与える影響を解析すると共に、ニホンザルとマーモセットの動作計測結果を対比的に分析した。 四足歩行の身体力学モデルを用いて、LS歩行とDS歩行を順動力学的にシミュレートし、体幹運動を比較した。その結果、接地パターンの違いにより床反力作用に差異が生じ、体幹挙動に違いを生みだすことが示唆された。霊長類は基本的には樹上で進化してきた動物であり、樹上生活への適応として体幹の可動特性が変化した結果、接地パターンが異なる可能性が示唆された。 一方、動作分析の結果、マーモセットは霊長類であるにもかかわらずLS歩行を採用しているが、マーモセットの接地パターンはイヌやウマと同じではなく、一般的なほ乳類と霊長類の中間に位置づけられることが明らかとなった。マーモセットは相対的に原始的な形質を有した霊長類であるためLS歩行を採用していると予想されたが、マーモセットの筋構造はネコよりもニホンザルと類似していることを解剖データから明らかにし、筋構造は接地パターンの決定要因ではないことが示唆された。また、傾斜トレッドミル上を四足歩行するニホンザルの接地パターンを比較・分析することで、霊長類がDS歩行を採用するのは体重心が相対的に後方に位置するためという仮説を検証した。前肢に作用する床反力が傾斜により増大しても、LS歩行への遷移は基本的に観察されず、重心位置が接地パターンの直接的決定要因ではないことが示唆された。
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