研究課題/領域番号 |
15K14616
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 享史 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90301407)
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研究分担者 |
米代 武司 北海道大学, 獣医学研究科, 学振特別研究員(PD) (40724167)
松下 真美 天使大学, 看護栄養学部, 助教 (60517316)
斉藤 昌之 北海道大学, その他部局等, 名誉教授 (80036441)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環境適応能 / 褐色脂肪 / 寒冷誘発熱産生 |
研究実績の概要 |
健康な成人男性30名程度を対象に、褐色脂肪組織活性実験およびFDG投与によるPET/CT検査を実施した。被験者には実験・検査・測定の前日および当日のアルコール摂取および激しい運動、当日のカフェインが含まれる飲料の摂取は禁止し、また、十分な睡眠と8時間以上の絶食を行なうよう指示した。 褐色脂肪活性実験およびFDG投与によるPET/CT検査では、被験者は検査衣と短パンを着用し、気温約19℃に設定した居室において、足裏部を間歇的に氷冷し冷刺激を付加ながら、約120分間の座位安静を行った。本研究の着衣条件では気温19˚Cでの足裏氷冷はふるえが発現しない温度設定である。60分経過時にフッ素の放射性同位元素(18F)で標識したグルコース(2-fluoro-2- deoxyglucose: FDG)の静脈注射を行ったのち、計測機器を装着し、皮膚温8部位(鎖骨上窩、胸、前額、前腕、手背、大腿、下腿、足背)、皮膚から0.5~1cm程度の深さの皮下組織温2部位(鎖骨上窩、胸部)の測定を行った。さらに60分経過後PET/CT撮影を行ない、肩や脊椎周囲の脂肪組織へのFDG集積を読影・定量化し、褐色脂肪活性の評価を行なった。 褐色脂肪組織の活性の程度を示す標準取り込み値(SUV)から30名中半数の被験者において褐色脂肪組織の活性が確認された。皮下組織温との関連性については現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では褐色脂肪活性実験の際に鎖骨上窩部などの皮膚血流量を測定する予定であった。しかし、褐色脂肪活性実験後すぐにFDG-PET/CTの撮影を行わなければならなったことから、医療機関において褐色脂肪活性実験を実施した。医療機関にレーザードップラー皮膚血流計が無く、また外部からの持込が困難であったため皮膚血流量の測定はできなかった。しかし、皮膚血流量の測定ができなかった以外は計画通りに進んでいるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
皮下組織温による褐色脂肪組織活性の評価が有用かどうかを、得られたデータを用いて統計学的に分析を行い、検証する。 また寒冷刺激によって褐色脂肪活性の増加が見られた被験者において、90分程度の寒冷曝露を実施し、皮下組織温による経時的変化を捉え、褐色脂肪組織活性を経時変化を評価できるか否かを検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究遂行にはPET/CTを有する病院の協力が不可欠であり、札幌で研究を実施するよう計画していた。しかし、研究代表者が平成27年4月より北海道大学から九州大学に異動になったことに伴い、研究遂行上、旅費など他の経費が必要になることが予想されたことから、当初計画していた本研究経費による深部温モニターの導入を保留していた。その後、別の研究経費で深部温モニターを導入でき、本研究経費による導入が必要なくなっため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
深部温モニターの導入は他の研究経費で実施できたが、深部温センサーの劣化が早いため複数本の深部温センサーの購入に使用するよう計画している。 また研究期間の最終年度となるため、研究成果の発表に伴う旅費、英文校正費、論文掲載費などの費用として使用する計画である。
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