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2015 年度 実施状況報告書

稔性回復遺伝子ホモログの人工進化による特異的RNA結合タンパク質の合成

研究課題

研究課題/領域番号 15K14626
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

藤井 壮太  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90716713)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード稔性回復遺伝子 / 人工進化 / RNA編集
研究実績の概要

任意のRNAに結合するタンパク質を生み出す事ができるだろうか?本研究では,本研究ではRf-PPRと呼ばれるRNA結合タンパク質をコードする多重遺伝子群に人為的に変異を導入することで,任意のRNAに結合するタンパク質を人工進化させる事を目指す.
今年度はエラー誘発PCRによってRf-PPRに人為的に変異を導入する実験系の構築を試みた.まず、Rf-PPRのパラログをdegenerate PCRを用いて4種のアブラナ科植物から増幅した.これらの中には推定40種類のRf-PPRパラログ配列が存在すると考えられる.現在これらの断片を鋳型に混合PCRを行い、試験管内でのPCRエラーによって多様なRf-PPRライブラリーが構築できるか検査している.一方、Random priming法によってRf-PPR間の相同性組換えを促しRNA認識特異性の多様性が拡大されたライブラリーの構築を試みたが、現在までに良好なPCR増幅断片は得られていない.
また、特異的なRNAへの結合能力を獲得した人工進化PPRの選抜を目指し、蛍光タンパク質Venusを用いたスクリーニング系の開発を行った.タンパク質翻訳の開始点となるShine-Dalgarno(SD)配列部分がRNA二次構造を取るような配列をデザインし、PPRがその部分に結合した場合SD配列がオープンになり、Venusが翻訳されるというシステムである.モデルPPRタンパク質であるPPR10の結合配列をSD配列と連結して二次構造を取るようにデザイン(PPR10-SD隠蔽型ベクター)したところ、実際下流に連結したVenusの発現は見られなくなった.一方、同じ大腸菌株にPPR10を発現させたところ、蛍光が回復した.従って、PPRの結合活性を簡易にスクリーニングできる系が開発されたと考えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上述したとおり新規レポーター系の開発は概ね完了できたと考えている.
その一方で、多様性のあるRf-PPRライブラリーの開発は現在までに成功しておらず、最大の理由はRandom priming法によるPCRフラグメント間の組換え促進系が確立できなかったことにある.この遅れによって任意のRNA配列への結合活性を持つPPRのスクリーニング実験まで到達することができなかった.
本研究の関連で、Rf-PPRの一種であるRFL2の詳細な機能解析を行ってきた.この解析より、Rf-PPRがRNAの二次構造のリモデリングに関わる可能性が示唆され、研究開始当初は未解明であったPPRの機能を見出すことができた.

今後の研究の推進方策

今年度は、引き続きエラー誘発PCRによって多様性のあるRf-PPRライブラリーの開発を目指す.これまでにPCRで増幅した推定40種類のRf-PPR断片を鋳型としてPCRを行い、相同性組換えを誘発する.これらをクローニングし、配列をシークエンスすることで、Rf-PPRライブラリーの多様性を評価する.
ライブラリーを得られた場合、PPR10-SD隠蔽型ベクターを発現する株に導入し、Venusの蛍光が回復するコロニーをスクリーニングする.コロニーからプラスミドを単離し、中身のRf-PPR配列を確認する.このRf-PPRがPPR10結合配列に対して結合活性を持つかどうかを、in vitroのRNA結合アッセイによって評価する.

次年度使用額が生じた理由

昨年度は人工進化させたRf-PPRをシークエンス解析によってスクリーニングする予定であったが、Random priming法を用いた良好な組換えDNA断片が得られず、スクリーニングまで至らなかったため.

次年度使用額の使用計画

今年度はこれらの次年度使用額の多くをRf-PPRのシークエンス解析を行うための消耗品費に割り当てる予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Calcium signalling mediates self-incompatibility response in the Brassicaceae2015

    • 著者名/発表者名
      Megumi Iwano, Kanae Ito, Sota Fujii, Mitsuru Kakita, Hiroko Asano-Shimosato, Motoko Igarashi, Pulla Kaothien-Nakayama, Tetsuyuki Entani, Asaka Kanatani, Masashi Takehisa, Masaki Tanaka, Kunihiko Komatsu, Hiroshi Shiba, Takeharu Nagai, Atsushi Miyawaki, Akira Isogai & Seiji Takayama
    • 雑誌名

      Nature Plants

      巻: 1 ページ: 15128

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1038/nplants.2015.128

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2017-01-06  

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