研究課題/領域番号 |
15K14635
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
下野 裕之 岩手大学, 農学部, 准教授 (70451490)
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研究分担者 |
熊谷 悦史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (80583442)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 成長モデル / 多収 / イネ / 気象 |
研究実績の概要 |
本研究では,過去に膨大に蓄積されている作物の生産力の品種比較データは,将来の環境への適応性育種のための母本の選抜において貴重な情報になりえる.しかし,蓄積されたデータそのものでは,異なる地点や異なる年次に得られた品種を直接比較することができない.本研究では,成長モデルを用いて気象環境を標準化することで,異なる年次,異なる試験地に実施された過去の品種の比較データを統一的に評価する新たな手法を開発する.これにより,過去に蓄積された数百以上の品種の生産性を統一的に評価できることになり,将来の地球温暖化による気候変動に適応できる候補品種の効率的な探索を目的とする.
初年度には,A:解析プラットフォームの作成として,(1)解析に必要な数品種のデータ収集を行うとともに,(2)イネの潜在収量を予測するため,日々の群落受光量と日射利用効率の積を積算する形で表現される単純な成長モデルを作成した.(3)そのモデルでの品種間差の評価が正しくされているか,実測データでの評価と比較し,妥当であることを明らかにした.さらに,B:候補品種の選抜として,奨励品種決定試験から2001~2005年(ただし2003年を除く)の数千以上の品種から収量水準の高い上位12品種を選定し,それら品種についてデータを収集し,成長モデルを用いて解析を行った結果,はたじるし は,気象資源に左右されず高い生産性を示すこと,北陸193は気象への可塑性が非常に高いことを明らかにした.これら品種が持つ特性を次年度に温度勾配チャンバーを用いて評価する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的である,プラットフォームとしてのデータの収集,またモデルの作成を完了し,加えて,候補品種の選定まで予定通り進めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り順調に試験が進んでおり,次年度に本手法で新たに選抜した品種の能力を評価することで,本手法のデータマイニング手法として確立することが期待される.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた事務経費が少なくて済んだため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度で使用する炭酸ガス代とするため.
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