開頴時の飽差の変化に伴った葯気孔応答と葯の水分状態に注目して、構築した仮説を検証する。高温処理を行うと、穂の導管の水ポテンシャルに有意な低下が認められた。また、開花期の葯の含水率は高かったものの、花糸では含水率は低下した。網羅的遺伝子発現解析において細胞膜の水透過率の制御に関与するアクアポリンや乾燥・浸透圧ストレス防御に関与するLEAタンパク質等の遺伝子発現の上昇が認められたことから、高温下では,雄蕊(葯・花糸)が水ストレスに陥る可能性が示唆された。更に、高温耐性品種・感受性品種を含む複数品種の顕微鏡観察から、葯表面の気孔密度に品種間差があり、これが稔実率を決定する一要因と考えられた。
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