種子繁殖性のユリであるシンテッポウユリには白花しか無い。本研究ではNew plant breeding technique (NPT) を用いて黄色のシンテッポウユリを育成する。シンテッポウユリでは、花弁で特異的にカロテノイド色素(黄色)を分解するCCD4が働くため色素が花弁に貯まらないと考えられる。Virus Induced Gene Silencing (VIGS)を利用して転写型遺伝子サイレンシング(TGS)をCCD4遺伝子に誘導して転写を抑制し、花弁でカロテノイドの分解を抑える(黄色になる)。この個体を自殖すると、ウイルスは種子伝搬しないので、目的の遺伝子(CCD4)にのみ変異(プロモーター領域のメチル化)が入り、遺伝子組換えの痕跡は残らない植物ができる。実際に、ウイルスを除去した後もCCD4遺伝子の発現抑制が数世代にわたって続くことを検証する。 平成28年度はシンテッポウユリ、スカシユリ、オリエンタルハイブリッドユリよりCCD4遺伝子を単離し、発現プロファイルを明らかにした。これらのユリの間で発現様式が微妙に異なることが明らかとなった。また発現の増減とカロテノイドの蓄積量との間に関連があることも示すことができた。 つぎにCCD4の配列の中でsiRNAの候補となる配列を予測し、それをCucumber Mosaic Virus (CMV) 由来のウイルスベクターに導入して、ユリならびにベンタミアナタバコに接種した。現在、形質の変化を調査している。
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