本研究では、自家不和合性機構を利用した花粉媒介形質転換系がサクラ属果樹における代替形質転換技術になりえるか検証した。自家不和合性花粉側因子の発現を抑制するヘアピン配列を設計し、組換えタバコにおいてそのサイレンシング効果を確かめた。次に、そのヘアピン配列とGUS遺伝子を花粉で発現させる一過性発現組換えベクターを用いて、オウトウ‘佐藤錦’花粉への遺伝子導入を検討したところ、1%程度の形質転換花粉が確認された。しかしながら鉢植え‘佐藤錦’上の500花以上に対しこの形質転換花粉を受粉したものの、自殖後代は得られず、立案した系の有効性については更なる検証が必要なものと考えられた。
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