研究実績の概要 |
=ミトウイルス複製部位の確認と感染性クローンの構築を目指す= 昨年度、途中まで進めたミトウイルス感染性クローンの作成を今年度も試みた。クリ胴枯病菌由来のミトウイルス(Cryphonectria mitovirus 1,CpMV1)の完全長cDNAクローン2種類作成した。1種類は、CpMV1のcDNAであり、もう一方は8箇所でミトコンドリア型のトリプトファンコドン(UGA)(核型では停止コドンとして機能する)は保存されていた。従って、まずこれらのUGAコドンを核型トリプトファンコドン(UGG)に変更したcDNAも同時に合成した。尚、試験管内でウイルスゲノムと同一の配列を有するRNAの合成を可能とするため、5’末端にT7プロモーター、3’末端にSal Iを付加した。これらのクローンを核型コドンに変更したRdRp発現クリ胴枯病菌、あるいは非形質転換体にトランスフォームあるいはトランスフェクションを行った、しかし、感染性クローンの構築に至らなかった。そこで、さらにミトウイルスとは同科のナルナウイルスの感染性クローンをスペインのR. Esteban博士より共同研究の一環として分譲を受けた。本クローンは自然宿主でありSaccharomyces cerevisiaeでの感染性が確認されている。しかし、本クローンも自然免疫欠損クリ胴枯病菌系統(ダイサー遺伝子、アルゴノート遺伝子欠失株)でも感染性は認められなかった。
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