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2015 年度 実施状況報告書

植物病原糸状菌を休眠させる細菌のメカニズム解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K14666
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

飯田 祐一郎  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門野菜病害虫・機能解析研究領域, 主任研究員 (00456609)

研究分担者 篠原 信  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門野菜病害虫・機能解析研究領域, 上級研究員 (90326075)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード微生物間相互作用
研究実績の概要

1、糸状菌の増殖抑制に関わる細菌の探索
これまでに有機質養液から42株の細菌を分離しているが、Fusarium oxysporumの増殖を単独でも抑制する細菌は、Rhizobium sp. TBD182の1種類のみであった。そこで有機質養液から、NB、LB、M9等の細菌用培地で増殖可能な細菌を100株以上分離し、無機養液内でF. oxysporumとの共培養を行った。その結果、F. oxysporumの菌糸伸長や胞子発芽を阻害する細菌株は見いだされなかった。そのため、以後の実験にはRhizobium sp.を対象とすることとした。

2、F. oxysporumとRhizobium sp.の相互作用時の発現解析
Rhizobium sp.によって阻害されるF. oxysporumの代謝経路やシグナル経路等を明らかにするため、遺伝子発現解析を行った。無機養液内で、F. oxysporumを単独培養、またはRhizobium sp.との共培養を行い、抽出した全RNAからRNAseq解析を行った。cDNAシークエンスデータをゲノム配列にマッピングした結果、共培養時には、F. oxysporumの菌糸伸長に関わること複数のシグナル因子において、遺伝子発現が抑制されることが明らかになった。これらシグナル因子の定量PCRによる発現解析から、Rhizobium sp.と直接接触しない共培養条件(セルカルチャーインサート)では、発現レベルが低下しないことが明らかとなった。以上の結果は、Rhizobium sp.とF. oxysporumが直接相互作用した場合にのみ、菌糸伸長が阻害される結果と一致している。
特に大きく発現が低下した遺伝子群には、機能未知なタンパク質をコードするものが多く、菌糸伸長に関わる新規な遺伝子であることが示唆された。また病原性や胞子形成に関わる既知遺伝子の発現は、両条件においてほとんど変動していなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していたF. oxysporumの増殖抑制効果をもつ細菌の新規分離は達成されなかったが、逆に以後の実験ではRhizobium sp. TBD182のみに集約して研究を実施することができた。
RNAseqデータのマッピングは同じF. oxysporumの公開ゲノム情報を用いたが、実験に用いたF. oxysporum菌株のゲノム配列も公開される予定であることから、次年度改めてマッピングを行う。
F. oxysporumの菌糸伸長に関わる新たな遺伝子も見いだされ、おおむね順調に当初の計画を実行でき、研究が進展していると考える。

今後の研究の推進方策

昨年度は、F. oxysporumとRhizobium sp.の相互作用時における、糸状菌の増殖抑制に関わる因子を明らかにした。それらの情報に基づき、今年度は細菌側の関連遺伝子を同定する。そのためにまず、Rhizobium sp.の補完的なゲノム解析を行い、高精度な発現遺伝子マッピングを可能とする。同定した遺伝子について破壊株を作出し、F. oxysporumとの共培養によって増殖抑制への関与を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

人件費として計上していた研究補助員1名が、病気のため急遽辞職された。そのため新たな補助員を募集したが、数ヶ月の間、補助員を雇用することができなかったため、繰越金が生じた。

次年度使用額の使用計画

昨年度から継続して実施している研究の補助のため、今年度予定していた6ヶ月分の研究補助員の雇用期間を9ヶ月に延長する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Synergistic action of serine- and metallo-proteases from Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici cleaves chitin-binding tomato chitinases, reduces their antifungal activity and enhances fungal virulence2015

    • 著者名/発表者名
      Mansoor Karimi Jashni, Ivo Dols, Yuichiro Iida, Sjef Boeren, Henriek G. Beenen, Rahim Mehrabi, Jérôme Collemare, Todd Naumann, Pierre J. G. M. de Wit
    • 雑誌名

      Molecular Plant-Microbe Interactions

      巻: 9 ページ: 996-1008

    • DOI

      10.1094/MPMI-04-15-0074-R

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Fusarium oxysporumの菌糸伸張を抑制する土壌細菌Rhizobium sp.2015

    • 著者名/発表者名
      飯田祐一郎, 藤原和樹, 篠原信, 渡辺郁栄
    • 学会等名
      フザリウム研究会
    • 発表場所
      三重県伊勢市、神宮会館
    • 年月日
      2015-08-28 – 2015-08-28

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公開日: 2017-01-06  

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