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2015 年度 実施状況報告書

植物の凍霜害防止のための新戦略

研究課題

研究課題/領域番号 15K14667
研究機関北海道大学

研究代表者

福士 幸治  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60218906)

研究分担者 荒川 圭太  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00241381)
実山 豊  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (90322841)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード過冷却促進活性 / 氷核形成阻害活性 / 氷核細菌 / 植物葉 / 凍霜害防止
研究実績の概要

申請者らは、これまでに樹木の木部組織から氷核形成細菌の氷核活性を阻害する物質を単離・報告した。これらは過冷却促進物質(または氷核形成阻害物質)と呼ばれ、フラボノール配糖体、加水分解性タンニンあるいは縮合性タンニン等が含まれる。フラボノール配糖体等は一般に抗酸化物質として知られ様々な植物に含まれているため、樹木の木部以外の組織や草本植物にも氷核細菌の氷核活性を阻害する可能性があると考えた。本年度は、各種植物の成分がどの程度効果的に霜害を防止できるかを検証するため、様々な植物の粗抽出物を用い、氷核細菌による氷核形成に対する阻害活性を比較した。また、リーフディスク凍結試験法を確立し、植物に対する凍結抑制効果の測定を行った。各種植物葉の抽出物を用いてドロップレット凍結法による過冷却促進活性試験を行った結果、樹木ではアカエゾマツ、バッコヤナギ、ゲッケイジュ、スダチ、チャノキの葉、それ以外ではクマイザサ、アカジソ、レッドマスタード、セイヨウウタンポポの葉の抽出物に強い過冷却促進活性が見出された。一方、スベリヒユ、カイワレダイコン、トマト、コショウソウなどでは、対照(氷核形成細菌を含む溶液)よりも高い温度で凍結した。高活性を示した抽出物は、次にカイワレダイコン、トウモロコシ、ヤマグワ、チャノキの葉を用いたリーフディスク凍結試験に供した。その結果、葉を用いた試験においても凍結阻害活性が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

65種の植物葉の抽出物のうち、氷核細菌に対する高い阻害活性を持つもの(ドロップレット凍結法で過冷却促進活性が2℃以上)が14種類あった。また、氷核細菌単独より高い温度で凍結する組合せもあった。活性が比較的高かった抽出物のうち5種(アカエゾマツ、ゲッケイジュ、チャノキ、クマイザサ、セイヨウタンポポ)を選択して、リーフディスク凍結試験法を開発し、植物葉に対する凍結試験を行った。その結果、対照区に比べて凍結を抑制でき、葉への凍結傷害を抑制することができた。植物種により程度は異なるが、植物葉抽出物は氷核形成を効果的に阻害できるものがあることが分かった。またこれらの抽出物は植物葉上においても効果を発揮し、結果的に植物葉の凍結を抑制できた。

今後の研究の推進方策

1.茶の苗木を用いた凍霜害防止活性試験の実施:現在栽培中のチャノキ苗を用いた凍霜害防止活性のポット試験を行う。(荒川 分担)2.植物葉中の過冷却促進物質および氷核活性物質の単離・同定:昨年度得られた実験データから植物葉中に過冷却促進活性成分の存在と氷核活性成分の存在の可能性が示唆された。本年度は、それらの活性成分の単離・同定を行う。(博士課程学生 分担)3.過冷却促進物質の作物に対する副次的効果の検討:既存の過冷却促進物質のうち、加水分解性タンニンや茶カテキン類は抗菌活性をはじめ多くの生理作用を示すことが報告されている。選抜した凍霜害防止活性物質は、作物に対する影響(薬害、生育促進など)のみならず、氷核細菌および植物病原菌に対する抗菌活性の強弱についても検討する。(福士 分担)4.作物に対する凍霜害防止の圃場試験の実施:北大圃場で野菜、トウモロコシなどの幼苗を用いた凍霜害防止試験を実施する。また、他研究機関の圃場での樹木(桑、茶、リンゴ、モモなど)を用いた凍霜害防止試験に関する共同研究を進める。(実山 分担)5.研究成果の発表と総括:得られた成果を適時論文としてまとめ、発表する。本研究の総括を行い、次なる課題の設定と問題克服方法を検討する。(分担者全員)


次年度使用額が生じた理由

残額407,088円のうち、321,799円分は使用済みで4月に支払い予定である。
繰り越し分85,209円は、凍霜害試験用の苗木購入と育苗に使用する予定である。

次年度使用額の使用計画

繰り越し分85,209円は、凍霜害試験用の苗木購入と育苗に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 植物由来の氷核形成阻害物質の探索2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸吾、福田 怜、福士幸治、荒川圭太
    • 学会等名
      日本農芸化学会2016年度(平成28年度)大会[札幌]
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道・札幌市)
    • 年月日
      2016-03-27 – 2016-03-30

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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