精製したウイルス粒子をショ糖水溶液とともにタバココナジラミに吸汁させ、中腸細胞を通過して血体腔に到達したウイルス粒子をタバココナジラミの脚から検出する系を改良すべく、polymerase chain reaction (PCR)とrolling circle amplification (RCA)の検出感度を検討した。その結果、感度が高い順にPCR > 特異的プライマーを用いるRCA > ランダムヘキサマーを用いるRCAであった。クラスリン仲介型エンドサイトーシス(Cl-EC)の移行マーカーである蛍光標識transferin、カベオラ/脂質ラフト仲介型エンドサイトーシス(Cv-EC)の移行マーカーである蛍光標識cholara toxin beta をタバココナジラミに吸汁させると、中腸細胞に取り込まれ、その取り込みはそれぞれ特定の濃度のchlorpromazinおよびnystatin により特異的に阻害された。TYLCV のタバココナジラミ中腸細胞の通過は、ウイルス粒子吸汁後2時間はnystatin により阻害されたが、吸汁時間を12時間に延長するとウイルスが通過した。これは、nystatinによる阻害が完全では無いか、あるいは、Cv-EC以外の経路があることを示唆する。各エンドサイトーシス経路に関わるタンパク質をRNA interference によりノックダウンすべく、その予備実験を行った。タバココナジラミのvacuolar-type H+ ATPase subunit A遺伝子の一部を2本鎖RNAとしてin vitroで合成し、ショ糖水溶液とともにタバココナジラミに吸汁させたところ、濃度依存的にタバココナジラミの死亡率が高まった。これは中腸細胞において同遺伝子をノックダウンできたことを示唆する。
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